しかし、加賀谷は髪の長い女性…つまり母親の面影のある女性に対してトラウマを抱きつつもロングヘアーの美乃里と付き合っていました。
もしかしたら、美乃里との結婚を考えてトラウマを克服しようとしていたのかもしれませんね。
加賀谷の母を見舞う美乃里
末期癌患者として入院中の加賀谷の母を見舞った美乃里は、母親から愛されなかった加賀谷の幼少期を知ります。
いくら過去を悔いたとて、幼少期の加賀谷の傷ついた心が癒えることはありません。
加賀谷に対する美乃里の気持ちも、この母親との出会いから多少変化したのではないでしょうか。
自分の全てを知りそれでも愛してくれる美乃里から、加賀谷も本当の愛情を感じたのです。
だからこそ場所を気にせずに心からのキスを贈り合う本物の恋人に、加賀谷と美乃里はなれたのでしょう。
美乃里に対しての謝罪
海岸でキスをねだられた時に2人がキスをしていたら、兵頭に勘違いされて美乃里がサイバー事件に巻き込まれることはありませんでした。
ラストシーンでのキスは、愛情や感謝の気持ちと共に加賀谷が美乃里に対して謝罪の意味も込められていたようにも感じられます。
母親と重ねてしまったことへの謝罪
加賀谷はロングヘア―の女性に対して無意識に母親と重ねてしまうところがありました。
1作目の加賀谷のトラウマシーンから描かれていますが、ネグレクトによる影響はそこまで根深いものだったのです。
美乃里との関係が踏み込めないまま3年が過ぎたことは、結婚式を見て結婚を意識した女性に対する態度としては大変煮え切らないもの。
美乃里を一人の女性として認識し特別視できるようになったことで、加賀谷の心には美乃里の女性という面に対しての謝罪が生まれたのです。
加賀谷の刑事としての問題行動
美乃里が兵頭に目を付けられたもう1つのきっかけに、加賀谷自身が警視庁公安サーバーにクラッキングした問題が挙げられます。
刑事であれば、外部サーバーから警視庁のサーバーに侵入することが犯罪であることは分かっているはずです。
警官であった父親のことを調べたいという欲求があったとしても、加賀谷がとった行動は犯罪です。
余計なクラッキングさえしていなければ美乃里のスマホがハッキングされることも無かったはずです。
仕事とプライベートを分けられなかった時点で、加賀谷は美乃里を事件に巻き込んだ加害者になったのです。
浦野はなぜ加賀谷を指名したのか?
浦野と加賀谷は、共に「母親」というトラウマを抱えた人物です。
刑事と連続殺人鬼という大きな違いはありますが、根底に繋がるものがあるからこそ浦野は加賀のを指名したのでしょう。
トラウマを抱えた加賀谷は、ほの暗いものを抱えた仲間であると共に、少しつつけば崩れるような脆い部分を抱えた存在です。
浦野は加賀谷のそんな弱い部分を見抜き、刑事でありながら自分と同じ土俵へ引きずり下ろすために指名したと考えられます。
二人の共通点
浦野と加賀谷の共通点は「母親」です。
2人とも母親のネグレクトにより女性に対して歪んだ感情を抱えていました。
幼いころから傷つけられた心は、ターゲットとなる女性に対して特別な感情を抱かせます。
好意的とはいえないそれらの感情は、2人の行動にどのように表れたのでしょうか。
浦野と加賀谷のトラウマとの向き合い方
刑事となった加賀谷が感じていたトラウマは女性に対しての引け目だったため、女性に対して積極性を持てませんでした。
反して浦野の場合は、ターゲットとなりうる女性に恐怖を与えたうえで殺害するという非常に凶悪な行動に出ます。
2人とも母親からのネグレクトにより心に傷を負っていますが、大人になってからの行動は真逆です。
自身を守る保守的行動に出る加賀谷に対し、攻撃対象として女性を扱った浦野は犯罪者として檻の中に入ることになったのです。
黒髪ロングヘアーの女性
母親というトラウマに加え、黒髪ロングヘアーというのも女性に対しての共通項です。
美乃里はダークブラウンの髪色ですが、かなり黒髪ロングに近いヘアスタイルをしています。
それゆえ加賀谷は美乃里に対して一歩踏み出せない一面があったのでしょう。