連続殺人犯としての浦野は該当女性ばかりを狙う殺人を犯していましたが、師として存在していた「M」も殺害しています。
また、作中では雑木林から発見された吉見や長谷川の殺害も浦野の犯行ではないかと示唆されています。
このことからも、浦野は黒髪ロングヘアーというシリアルキラーを隠れ蓑にその他の殺害にも関与している可能性が考えられます。
本作で浦野が新たに見せた犯罪の可能性は、逃亡後のストーリーが二転三転するフラグにもなっているのではないでしょうか。
笹岡の存在から加賀谷を脱獄に利用
浦野が加賀谷を指名したもう1つの理由に笹岡の存在が挙げられます。
加賀谷に心を寄せる笹岡は、以前から美乃里を加賀谷から引き離すべく男性を紹介するなどしていました。
さらに、笹岡は刑事になった加賀谷に振り向いて欲しい、加賀谷と立ち上げた会社のために動きたいという感情を抱いていました。
感情の限界を超えた笹岡はレイラコイン(仮想通貨)を盗み、浦野と繋がり美乃里の誘拐に及びます。
加賀谷に対してなんの感情も持っていない笹岡であれば、浦野の甘言めいた犯罪依頼に乗せられることはなかったかもしれません。
笹岡という人物を知ったからこそ、浦野は加賀谷に執着し続けたのです。
笹岡を脅迫
笹岡をMに見立てて事件の流れを作り上げたのは浦野自身です。
しかし兵頭が笹岡をMだと目ぼしを付けていた当たり、笹岡も浦野に仕立て上げられた犯罪者といえるでしょう。
浦野は人のトラウマや心理を読むことに長けた犯罪者です。
笹岡という犯罪者を見つけると共に、加賀谷や美乃里との関係性を掴んだ上で美乃里を誘拐するように脅迫したのではないでしょうか。
まるでメンタリストのようですが、前作の犯罪行動を思い出すと浦野のしたたかな行動パターンがハッキリと見えてきます。
自分に足が付かないように2重にも3重にも防衛線を張って行動する。それが浦野善治という人物です。
警察に協力するフリをしつつ笹岡を使い事件に波乱を巻き起こし、隙を見て行方をくらます。
そんな手際の良さを考えると、山中で見つかった死体に関しても浦野が誰かしらに指示、もしくは脅迫して関わっているのかもしれません。
美乃里に対する笹岡の嫉妬
同性愛という異質な愛情を抱えてしまった笹岡は、加賀谷の恋人である美乃里に強い嫉妬心を抱いていました。
浦野からの美乃里誘拐&殺害依頼は、笹岡の嫉妬心を煽り犯罪行為を加速させます。
浦野にとって加賀谷を愛する笹岡の存在は、嬉しい誤算だったのかもしれません。
心にトラウマを抱え隙があるからこそ浦野のターゲットとされた加賀谷は、笹岡というパーツの登場でさらに窮地に追い込まれました。
笹岡の恋心や嫉妬心は、加賀谷を追い込むスパイスとして浦野にうまく利用されたのです。
加賀谷と浦野はこの先も絡むのか
「スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼」では、同性愛や恋人との関係などさまざまな愛の形が人間関係を複雑にしてきました。
事件が起こらなければ、加賀谷と美乃里はお互いを心から想い合う関係になることも無かったでしょう。
2人の関係性の変化は最初とラストのキスシーンに如実に出ています。
トラウマを克服し、美乃里を心から愛したからこその贈った最後のキスは多くの女性の心を打つものがあったのではないでしょうか。
また、ストーリーは加賀谷を利用した浦野により次の展開を匂わせる終わり方をしました。
まんまと脱獄した浦野がどのような行動にでるのか、加賀谷は再びストーリーに絡んでくるのか。
続編にも期待を寄せてしまう作品であることは、いうまでもないでしょう。