出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B00MIRRIZ8/?tag=cinema-notes-22
本作は2009年に公開された映画で実話をヒントに作られたフィクションです。
脚本はNHKテレビ小説の『ちゅらさん』や『ひよっこ』、映画『阪急電車』などでその才能をいかんなく発揮する岡田惠和。
監督は『海猿』シリーズや『銀色のシーズン』『暗殺教室』などを手掛けた羽住英一郎です。
思春期の少年たちと文字通り体当たりで向き合う教師・寺嶋美香子を綾瀬はるかが演じ好評を博しました。
美香子の『教師』という職業への思いを深く掘り下げ徹底考察していきましょう。
教師を続ける決心をした理由
念願の教師になったのに結局2度も学校を変わることになった美香子ですが、彼女は教師をやめませんでした。
美香子が教師を辞めるという選択肢を選ばず、続ける決心をしたのはいかなる理由からだったのでしょうか。
保身とうそつき
最初に学校を変わるきっかけになったのは、保身から生徒を裏切ってしまい『うそつき』と呼ばれたことです。
生徒からの視線に耐えられず、学校へ行くのが怖くなって引きこもった美香子。
そして彼女は戸畑第三中学に転勤したのでした。
この時は単に自分が嘘をついてしまった生徒たちが怖かっただけでした。
自分のことで精いっぱいな美香子は教師をやめるという考えまで至らなかったのでしょう。
環境を変えればいいというだけで、そこから逃げ出したのです。
そこに成長はありませんでした。
自分から逃げない
美香子は中学の時に万引きで停学になり、別の教室で一週間自習をさせられます。
その時担当だった原田先生が美香子に書かせた『道程』の感想文が賞を取ったことで彼女の人生は変わりました。
人はそういう時期に何か『褒められる』という経験をすると、その部分の才能が伸びていくことがあります。
おそらく美香子も「国語の先生に向いている」という原田の言葉が自分の中に眠っていた才能を引っ張り出してくれたのでしょう。
今回は「おっぱいを見せる約束」をしたことで学校を辞めさせられることになってしまいましたが、自分からは逃げませんでした。
しかし、出来ることならバレー部の彼らの成長を見守りたかったでしょう。
電車の中から、美香子を見送るバレー部員たちに手を振る彼女からは教師を辞めるなどという考えが全くないことがわかります。
それは学校が変わっても、かつての自分のように道に迷った生徒が何かのヒントを掴める手助けをしたいからに他なりません。
そうです。原田先生のようにです。
美香子は確かに成長しました。
美香子の中でぼんやりとしていた『自分にできること』がはっきりと見えてきたのは、原田先生の墓参りからでした。
なぜ原田先生の墓参りに出向いたのか
嘘をつかなかったことでクビになった美香子は、原田先生の墓参りに行きました。
「また失敗しました」という報告をしに来たのです。
この時はもしかしたら教師をやめようとさえ思っていたかもしれません。
だから教師になったきっかけである原田先生に報告したかったのです。
そして原田先生の奥さんと偶然会い先生の家へ行きます。
そこで美香子は何を得たのでしょうか。
原田先生の教え
原田先生は美香子に「道は目の前にある」ことを示してくれました。
そして当時の原田先生が美香子をどう導けばよいのか悩んでいたことを知り気づいたのです。
目の前の道を見失いかけた者を己の身を削り導く尊さを。