特別な台詞ではないシンプルな一言なのに、希央にとっては殺し文句とすら思えたのではないでしょうか。
希央には校則のせいで友達を話され、濡れ衣を着せられ、卒業の道すら閉ざされかけました。
それを創楽のこの一言が劇的に変え、彼女はやっと学校に戻る真の理由が出来たのです。
一緒に卒業したい、それが恋でも友情でもどんな形でもいいから実現できることに喜びを感じました。
人間、一番心に響くのはその人の「想い」であり、創楽の「想い」が希央の心を動かしたのです。
どのような関係であったにしても、創楽と希央は良好な関係で高校生活を歩んでいけるでしょう。
手代木の頭が固い理由
上記でも少し触れましたが、本作には理不尽の象徴として手代木という頭の固い教師が存在します。
彼は校則違反だからというだけではなく、あることないことをでっち上げるとんでもない人です。
下手をすれば刑事問題として訴えられてもおかしくない彼がなぜここまでのことをするのでしょうか?
ミチロウに脅されていた
手代木がここまで頑なな原因の一つは暴力動画を不良のミチロウに脅されていたからでした。
突き詰めると彼は学校の支配者のようでいて実は裏で踊らされている傀儡なのです。
これは同時に体育教師が取る言動・行動の理不尽さを皮肉っているともいえるでしょう。
そしてミチロウ、こいつの怖い所は陰湿化した不良であるという所です。
昔は不良といえば理念がしっかりあって筋の通った奴が番長をやっていました。
しかしミチロウはそのようなタイプではなく、表では生徒会副会長もやっています。
表向き良い子、しかし裏では悪い奴というこの捻れ具合もまた本作のどす黒さの象徴です。
厳しさを履き違えた体育会系
一番の理不尽はやはり手代木自身の体育会系としての人間性ではないでしょうか。
どんな世代にも一人は必ずこのように正論を振りかざして自分こそが全てという人はいるものです。
特に手代木のようなタイプは学生時代そういうノリが当たり前の世界で過ごしてきたのでしょう。
しかし、それは体育会系だから通用するのであって全ての世界でそのノリが通用する訳ではありません。
その温度差や違いすらも分からず表面上の厳しさだけが形骸化してしまっていたのでしょう。
そのことに気付かなかったのが手代木最大の不幸ではないでしょうか。
長いものには巻かれろ
そしてこれが最大の理由ですが、手代木の周囲の教師達も規律にやたらうるさい人達ばかりでした。
特に手代木と徒党を組む大多和先生、風紀に厳しい法月校長などがその典型といえるでしょう。
彼らを一般企業に例えるなら正にブラック企業のやたらに理不尽なブラック上司と社長です。
そんな性格のねじ曲がった人達の悪影響を受けて育つ内によりその側面が肥大化したのでしょう。
人間は環境に勝てない生き物ですから、周りがそういう人達ばかりだと自然に歪んでしまうのです。
正に長いものには巻かれろという諺を地で行く滑稽な体育会系の象徴ではありませんか。
理不尽過ぎる濡れ衣の理由
理不尽の塊たる手代木は希央を外国人と夜遊びしていたなどと退学処分へと追い込んでしまいます。
下手をすればこれは虚偽告訴罪という立派な冤罪に当たり、下手すれば懲戒解雇ものです。
何故希央がそこまでの濡れ衣を着せられなければならないのでしょうか?
権力は全てに勝る
一番の理由に挙げられるのは「学校で決められたことだから」という権力の横暴です。