自分だけのためにずっとそばにいてほしいという気持ちがあらわれています。
カメラマンの熱意を呼び覚ましてくれた野火に対する感謝とあふれる愛情が1枚の写真に込められていました。
静のプライベートカメラ
静のプライベートカメラは物語のキーポイントになっています。
野火の朝の寝顔も、チャラ源を追った最期の瞬間も静の手にあったのはこのカメラでした。
あこがれのロバートキャパ
あこがれの戦場カメラマンが使っていたことから、静の中では手放せないフィルムカメラです。
仕事には使わないまでも、自分もいつかロバートキャパのような写真が撮れたらと手放せない宝物だったかもしれません。
静にも、戦場カメラマンのように危険と隣り合わせても迫真の瞬間をカメラに収めたいという気概がありました。
芸能スキャンダルを追い求めるようになってからも、カメラマンとしての信念は変わっていなかったはずです。
チャラ源のもとへ急ぐ静が手にしたのはプライベート用カメラ
チャラ源から電話を受けた時、静には受話器の向こうでただならぬ事態になっていることを察知します。
車から出て現場に向かうとき、静は業務用のカメラではなくプライベート用のカメラを持っていきます。
チャラ源の狂った姿を誰にも見せたくなかったのでしょう。報道メディアにも出したくなかったと思われます。
実際に写真はすべてメディアには使えないピンボケでした。
静のプライベート用のカメラに収められていたものは、公表できない静自身の思い入れのあるものだけでした。
定子と野火それぞれの愛
週刊誌の編集部で定子は静と組んで報道スクープを撮り続けていました。夫婦同然の暮らしを続けていた定子と静。
定子は芸能記事専門のフリーカメラマンの静に、以前のように報道関係で情熱あふれる写真を撮ってほしかったのです。
何度も静を諭そうとしますが、チャラ源との一件が壁になっていました。
野火は、無謀な突撃取材を敢行しようとしたときに、静が報道カメラマンとして行動することから逃げていると指摘します。
バッティングセンターに興じる静の姿はこれからの自分の生き方を考えているようでした。
野火のひたむきな思いに応えて自分の本来の姿を取り戻した静。野火は静が最後に愛した女でした。
まとめ
野火に自分の最期の瞬間を撮らせるよう仕向けた静。自分の夢を野火に託しました。
業務用のカメラを準備せずチャラ源の悲惨な姿を表に出したくなかった静の思い。
銃の乱射事件という最悪の状況下で、野火は報道記者としてではなく愛する静が戦う姿を世の中に残そうとします。
野火のおかげでカメラマンとしての情熱を取り戻した静は、野火を最後まで愛したのです。
幸せそうな野火の寝顔を心に残し短い生涯を終えた静。
野火は静から受け取った愛とカメラマンとしての意識を忘れることはないでしょう。