未練を断ち切るためには、できるだけ離れたところで活動したほうが良いと考え、海外を選んだのです。
別れの言葉が信じられない理子
理子は、秋の別れの言葉が信じられません。
デートした時に見せた秋のやさしい笑顔や、楽しく話す姿が全部嘘だったとは思えないのです。
突然別れを切り出されたあげく、引っ越しの準備をする秋の姿を見て混乱した理子。
秋の大切なベースを持って逃げてしまうかわいい抵抗は、秋をつなぎとめておきたい理子の愛のあらわれでした。
その後、秋の親友のシュンから渡された一枚のデモCDを聴いた時、理子の秋への疑問や不安は全て解消されたのです。
「ちっぽけな愛のうた」を作曲した秋の想い
秋は、理子のために書き下ろした「ちっぽけな愛のうた」のデモ音源をだれにも公表せずに海外に持っていこうとしていました。
秋は理子を愛する気持ちを封印するつもりだったのか
秋は、理子に向けた自分の気持ちが表現されたこの曲を封印して、誰にも明かさずに海外へ持ち去ろうとします。
自分の存在が理子のデビューを阻害すると考えていた秋。
理子に迷惑がかからないように、自分の気持ちを胸の奥底にしまい込むつもりだったのでしょうか。
せっかくのすばらしい曲も愛おしい理子への想いも、表に出さないと自己満足だけに終わってしまいます。
理子の気持ちを考えれば愛を素直に伝える必要があったでしょう。
秋の親友シュンの計らいがなければ「ちっぽけな愛のうた」はひのめを見ることはなかったのです。
理子のおかげで創作意欲が復活し「ちっぽけな愛のうた」が生まれた
秋の曲はすべて高樹総一郎名義で発表されていました。音楽の世界にあきらめを感じプライドさえもなくしかけていた秋。
ところが、初めて理子の歌声に触れた時、秋の考えは一変したのです。
この声のために曲を作るというモチベーションが生まれ、創作意欲が復活。
秋がサウンドクリエイターとして海外に挑戦する気になったのも、理子の歌声のおかげでした。
「ちっぽけな愛のうた」はそんな秋が意識して作り上げた渾身の曲だったのです。
理子のキーに合わせて作曲した秋の心情
「ちっぽけな愛のうた」は理子のキーで書かれていました。はじめから、この曲を歌うのは理子だけと決めていたのです。
理子に歌ってもらうことで、自分の想いを理子だけに伝えることができます。
2人にしかわからない音楽の会話を実現できるのです。
理子のバンドMush&Co.のデビューライブが終わった後の会場に足を踏み入れた秋。
CDを部屋から持ち出して理子に渡したのがシュンの仕業だと気づきます。
その表情にはシュンをとがめるそぶりはなく、むしろ歓迎しているようでした。