機関士になった晶との絆は鉄道を介して深まっていくでしょう。
人生は1本のレールの上をただ走っていればよいほど単純なものではありません。
時にはアクシデントに遭い元通りになるのに時間がかかったりします。
それでも、節夫を含めた3人はひとつの家族として生きることに決めました。
奥薗家のかぞくいろは、何色なのでしょうか。
受け継がれる家族の絆
修平の父で晶の義父にあたる節夫も、晶と駿也を見て自分の新しい人生を見つけました。
修平と駿也
節夫は、駿也の姿を幼い時の修平と重ね合わせていたのでしょう。
修平には機関士を志してほしいと思っていた節夫。東京に出ていったあとは音信を絶っていたと思われます。
節夫には、修平に対して親として十分なことをしてやれなかったという後悔の念がありました。
駿也と出会ったとき、修平への想いからか成長を見届けたい気持ちが出てきて新しい人生の目標につながったと思われます。
息子に対する思いを駿也に託し、晶とともに新しい家族として生きていく決心をしたのでしょう。
節夫にとっての新しい家族の絆は、修平に対する思いから受け継がれていくのです。
機関士になった晶に親としての想いを託す節夫
晶が機関士を目指すと決めた時、子供に自分の仕事を継がせる願いを晶が代わってくれると感じていました。
晶の活動を横目で見ながら自分の人生を改めて見つめなおし、3人で新しい家族を作っていく希望も湧いてきたのでしょう。
駿也と晶のひたむきな生き方に触発されて機関士を続けることにしました。
それは駿也と修平の望むことだったはずです。
先生を祝福した晶の想い
晶は、父親の存在を世間に公表できない立場の先生があえてシングルマザーになろうとする姿に共感します。
都会と違って、地方に暮らす教師にとって父親のいない子の出産は歓迎されるものではありません。
晶も同じクラスの父兄から、親子の関係を不審がられて心無い言葉を浴びせられていました。
駿也との関係に悩んでいた晶は、ゆりがひとりで子供を育てようとする考えを聞いて同じ境遇にいると感じたのです。
晶も修平との間に子供が欲しかったのでしょう。自分の願いを先生に託したのかもしれません。
ゆりに晶は自分を重ねて見ていました。子を思う母親の願いはたとえ環境が違っても変わらないものです。
晶は自分を奮い立たせる意味も含めて、ゆりの妊娠、出産を祝福したのだと思われます。
まとめ 奥薗家の明るい未来
奥薗家は新しい家族の形で毎日を送ることにしました。家族には画一化されていないそれぞれの形があるのです。
世間の目や一般的な常識で計り知れない家族の形は、1本のレールのように途中で曲がったり結合しながら長く続いていきます。
一家の柱を無くすという悲しいできごとを乗り越え、家族として出発した晶と駿也。