しかし内戦や民族紛争、そしてテロリズムなど小規模での戦いが日常的に起こるようになりました。
日本はあくまでもその戦場ではないというだけで、決して真の平和が訪れたわけではありません。
こうした日常の影から忍び寄る陰湿化した悪が時代の変化を捉えたものとして表象されています。
ジーンとの共闘
物語後半に入ると、主人公のグラントはジェット機に乗り込んでいたCAジーンに助けられます。
二人はある目的から共闘する流れとなるのですが、彼女は戦力としては非力です。
なぜそのようなことを行おうとしたのでしょうか?
命を助けて貰ったお礼
まず一つ目が危うくナジに見つかりそうだったところを助けて貰ったお礼です。
グラントはあくまでも特殊部隊の選ばれた人間であり、その存在感からナジに見つかりそうになります。
水面下の危険な状況で下手なアクションを取るわけには行かないのです。
そこでナジに見つかりそうだったのを運良くジーンが助けてくれました。
非常に真面目で義理堅いグラントですから、そのお礼として彼女を戦力に入れたのでしょう。
隠れたテロリストを見つけるため
一番の目的は表立ったテロリスト以外にも乗客に紛れているテロリストを見つけるためです。
CAのジーンであればテロの最中に行動したとしても怪しまれることはまずありません。
これは正にCAが戦闘のプロではなく航空接客のプロであることを逆手に取ったウルトラCです。
彼女が動くことで適当な目眩ましにもなりますし、グラントの行動目的がバレることもありません。
そうやって間接的な方法を思いついたグラントの咄嗟の機転もかなりのものといえるでしょう。
一般人であってもヒーローになれる
ジーンとの共闘シーンは例えプロフェッショナルでなくともヒーローになれることを意味します。
この一般人とヒーローの繋がりというと同年の「激走戦隊カーレンジャー」もテーマとしていました。
彼女の共闘は最後でも示され、墜落しそうになった旅客機を最悪の事故から免れるのにも貢献しています。
巨大な悪役が不在ということは裏を返せば絶対的な正義の味方もまた不在ということです。
もうこの頃から既に一人一人が勇気一つさえあればヒーローになれるという考えはありました。
絶対的な正義の味方の象徴であったセガール演じるトラヴィス中佐が途中で死ぬのはその裏返しです。
こうした一種の世代交代も間接的に作品の中で行われています。
キャピーの覚悟
そんなグラントとジーンの共闘の中で爆弾処理班のキャピーもまた昏睡から復帰します。
決して万全とはいえない体ながら動くキャピー、一体何が彼をそこまで突き動かすのでしょうか?
ここではその真意に迫っていきましょう。