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2001年に公開された「少林サッカー」は痛快な作品です。
少林拳とサッカーという異色の組み合わせの本作は大ヒットを記録し、ブルース・リーやジャッキー・チェンとも異なる香港映画の形を作りました。
人生に挫折した人間達がサッカーで希望を取り戻すという、正統派なストーリーとアクションに魅了された方も多いのではないでしょうか?
主演も兼ねたチャウ・シンチーが監督した本作には、過去の香港映画へのオマージュが感じられます。
その中でもわかりやすいのがブルース・リーに顔立ちまでそっくりなゴールキーパーでしょう。
彼が決勝戦で負傷退場する際に「少し休む」といってサングラスをかけた理由は何だったのでしょうか。
ヒロインのムイが助っ人に来たシーンで髪を坊主にしていた意図と合わせて考察します。
魔の手に見るブルース・リーらしさ
ゴールキーパーの「魔の手」は失業から立ち直った男でした。
試合中にブルース・リーになりきる彼ですが、どんな部分がブルース・リーらしいのでしょうか。
トラックスーツ
試合中に魔の手はブルース・リーと同色のトラックスーツを着ていました。この元ネタは映画「死亡遊戯」です。
今作は製作途中でリーが急逝したため、製作者は代役を使うなどの方法で映画を完成させました。
リーといえばこの格好のイメージが強く、漫画などで彼のパロディキャラクターが登場するとこの服を着ていることも少なくありません。
少林サッカーでも魔の手がこの服を着ることで、彼がブルース・リーを意識したキャラクターであることが非常にわかりやすい形で観客に示されているのです。
無念の退場
相手のラフプレーにより魔の手は重傷を負ってしまいました。
選手の中で彼がこうした役割を当てられたのは、ブルース・リーが若くして死去したからだと考えられます。
無念の死を遂げたリーを意識したキャラクターだからこそ、魔の手は全力を出し切ったところで物語から去っていく。
まるで太く短い人生を鮮烈に生きたリーのような活躍が魔の手に与えられた役割でした。
サングラスをかけた意味
試合から去る魔の手がサングラスをかける行為は何を意味していたのでしょうか。
考察すると、やはりそこにはブルース・リーの存在がありました。
辛い顔を見られたくなかった
相手チームの凄まじいシュートを何度も受け止めた魔の手ですが、既にその手は限界でした。
試合から去ることになりましたが、冷静に振舞いながらも心の中は無念の気持ちで一杯だったのでしょう。
本当はすぐにでも泣きたかったのかもしれません。