そのため彼らはお互いに引き付けられたのかもしれません。
ただ彼らは互いの音楽性によってではなく、常軌を逸した執着心に共鳴していたようです。
フレッチャーの目的
生徒を死に追いやった過去を持つフレッチャーが指導者になった理由とは?そして彼の目的とは何なのでしょうか。
チャーリー・パーカーを作りたいのか?
ここが映画のハイライトとなるところでしょう。彼は偉大な音楽家を育てようとしています。
確かにコンテストで優勝するような優れたビッグバンドを育て挙げている実績もあります。
ただ彼のやりかたは、追い込み過ぎて度を超す、音楽教育者の範疇を逸脱するものといわざるを得ません。
しかしフレッチャーの頭は一般論を寄せ付けません。
天才を生み出すためには凡人と同じ方法で指導しても駄目だと思い込んでいたのです。
フレッチャーの卑劣さと彼の想いの強さは比例しています。それは信念なのです。
音楽をする理由
フレッチャーの教育方針はパーカーの事件を手本にしています。徹底的に追い込むことで生徒を選別しているのではないでしょうか。
ただ天才を見出したい。それだけを目的に生きているのです。
だからアンドリューが標的になっているわけでもなく、誰でもよかったはず。
フレッチャーの屈折した信念が、アンドリューとの常軌を逸した関係を作りました。
そしてその関係がラストの演奏に繋がるのです。
フレッチャーの心に去来する想い
完全に潰したと思ったアンドリューが披露したドラム。
その演奏に徐々に引き込まれたフレッチャーの気持ちはどのようなものだったでしょうか。
第二のパーカーを見つけた
アンドリューが怒濤のドラム演奏を始めてから、フレッチャーは楽しむように指揮をします。
天才にしか存在価値を与えないフレッチャー。
もしフレッチャーがアンドリューの中に才能を感じなかったなら、指揮をするはずがありません。
密告者のアンドリューを全力で潰しにかかったものの、最後の最後に才能を感じてしまったのです。
次のパーカーを見つけた。そう思ったに違いありません。
復讐の鬼
フレッチャーがアンドリューを罠に嵌めるステージを思いついた時には復讐心しかなかったはずです。
本来は自分が活躍する絶好のチャンスだったのに、それさえも犠牲にしてもいいと思っていました。
ですからアンドリューが今まで見たことのない見事な演奏を披露した時には戸惑ったことでしょう。
100%潰した相手が120%の力で返してくる。