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この映画は2006年に公開され470万人を動員した東宝のヒット作品です。
脚本・監督は『ラヂオの時間』で映画監督デビューし『みんなのいえ』をヒットさせた三谷幸喜。
カットを少なくして芝居を細切れにしないように見せる手法は、まるで舞台を見ているように感じます。
脚本の時点で計算された様々な仕掛けやキャラクター設定など、いつもながら観客を楽しませてくれる三谷幸喜監督です。
大晦日から新年が明けるまでの2時間をリアルタイム風に構成することでシーンに緊張感が生まれています。
さまざまな人間模様が交錯する中、登場人物たちが正直に生きる道を選んだ理由は何でしょうか。
また、憲二の歌が周りに与えた影響やハナの助言の意図も深読みしていきましょう。
正直に生きる道を選んだ理由を徹底考察
本作では様々な背景を持つ人々が互いに影響を受け合いながら本当の自分を見つめ直します。
そして3人の男たちもそれぞれに自分の進むべき道に気づきました。
そこにはどのような理由があったのでしょうか。
見栄を張り続けた男
高級ホテル・アバンティの副支配人としては申し分ありませんが、どこか色々と抜けている新堂。
元妻の由美の前でまた見栄を張りますが彼女はそれに気づいていたと知り落ち込みます。
そして彼女が言った『自分にもっと誇りを持て』という言葉にドキッとするのです。
そしてホテルマンの誇りを取り戻すため武藤田の脱出を決心します。
新堂が正直に生きる道を選ぶきっかけは由美の言葉でした。
認めたくなかった本当の自分を認めなければ先には進めないと気づいたのです。
しかしもともと鈍感な彼は矢部の気持ちになかなか気づきません。
夢をあきらめた男
武藤田に感謝され、巡り巡って『ラッキーアイテム』が戻ってきた憲二は夢をあきらめない選択をしました。
なおみの言葉に心が波立っていたこともあり、自分の歌の歌詞を噛みしめて正直な気持ちを取り戻します。
憲二が自分の心に正直になるきっかけはなおみの言葉です。
武藤田に影響を与えた歌は自分にも影響を与えたのでしょう。
夢を捨てた自分は本当の自分ではないと気づいたのです。
しかし彼の歌では記者たちを止めることはできませんでした。
落ち込みますがその事実を受け入れ前に進もうとする憲二です。
汚職議員でがけっぷちの男
クリーンなイメージで当選した武藤田は汚職議員として政治生命を絶たれることを『死ぬよりカッコ悪い』と思っています。
まさに拳銃自殺をしようとしたときに聴こえてきた憲二の歌で『カッコいい始末の付け方』を思いつきました。
しかし『カッコつけたいだけ』という邪心をハナに見透かされたことで本当の自分を見つめます。
武藤田はハナの言葉で自分を取り戻したのです。
そして彼は政治家を辞めたら何も残らない自分に気づき、政治家を続けたいという本心を素直に認めました。