そのような危険な取り引きが上手く行くわけがないことは火を見るより明らかです。
だからティンクルズの交渉の狙いをしっかり読んでいたからこそ、非情ながらこの決断を下したのではないでしょうか。
犬アレルギー治療薬を悪用されたくなかった
二つ目に、ティンクルズは犬アレルギー治療薬を改悪するつもりだったという狙いもありました。
ルーの甘さによりそれが現実になりそうだったことから判明しましたが、これも見抜いていたでしょう。
こういう開発して間もない研究を悪用する輩は現実に幾らでもいる、いわんやティンクルズをやです。
まあもっとも、このような情報漏洩を赦してしまったエージェント犬にも問題はあるのですが…。
そんなに悪用されたくなければ情報漏洩を含むセキュリティはしっかりするべきでした。
上層部の無能さを強調するため
そしてもう一つ、エージェント犬のお役所仕事ぶりや無能さを強調するためでもあります。
エージェント犬は研究がブロディー家にあると知りながらセキュリティー強化は一度もしていません。
基地こそ作っていますが、その後はエージェント犬を派遣しただけでほったらかしです。
やってることは実に不親切であり、世界征服がかかっていながら何故だかここにお金をかけません。
このように設備投資やお金の使い所を分かってないエージェント犬上層部の無能さが出ています。
猫が悪であるというだけではなく、犬側だって決して褒められた存在じゃないとしたかったのでしょう。
必ずしも一致しない人間とペットの幸福
さて、ここまで見てくるともう一つは人間とペットの幸福が必ずしも一致しないことが見えてきます。
元々は犬族と猫族の争いに人間側が巻き込まれたのが本作の基本構造となっているのです。
表面上犬側贔屓のようでいて、犬側も犬族が生き延びる為なら平然と人間を見捨ててすらいます。
忠実な性格といわれ知能指数の高い犬ですら時として人間を見限って切り捨てることもあるのです。
犬も猫も本当は好きなように生きたいのにペットとして生きることが幸福なのでしょうか?
王道物語を装いつつ、コメディの皮を被りながらもう一つ動物の悲痛な叫びがそこにあるようです。
まとめ
ルーはスコットのペットであることに幸福を見出すことが出来、家族になれました。
しかし、それは同時に人間にとって都合の良い下僕になることをも意味しているようです。
そう考えると犬や猫が人間並の知能を持ちこのように世界征服などを考えても不思議ではありません。
だからこそ犬猫を含め動物を飼っている人間もまたペットとの生き方を考える必要があるのでしょう。
昨今多頭飼いなどが社会問題となり、それに伴い簡単にペットを見捨てて結果殺処分も増えています。
犬派にしても猫派にしても、この辺りの問題を考えないといつかしっぺ返しを食らうかも知れません。