であれば日記が真実を作り上げていると言っても過言ではありません。
しかし日記はエイミーの創作ですから、エイミーが書きたいことが書かれていますし、書きたくないことは書かれていないのです。
エイミーは夫が浮気していることを知っていました。ですが日記では浮気について一切言及していません。
浮気は事実にも関わらず、エイミーは書きたくなかったのでしょう。
「浮気をしていない夫」という事実を創造したかったのだと思われます。
日記に浮気を書かなかった理由
日記にはエイミーが書きたいことだけが書かれていたのに、浮気についての記述がありませんでした。
ニックを死刑にしたいほど憎んでいたのなら、浮気の事実を隠す必要はないはずです。
むしろニックを不利にするにはもってこいの切り札だったと思われます。なぜエイミーは浮気の事実を隠したのでしょうか。
完璧なエイミーが崩れる
浮気されていたとなれば、もはや完璧な妻エイミーという定義は成り立ちません。
そうなると幼い頃から完璧を強いられてきたエイミーの立場がなくなってしまいます。
浮気を認めてしまえば、エイミー自身の存在が否定されるのです。
彼女はニックの汚名を隠すためではなく、自分の存在意義を守るために、日記に浮気の事実を載せなかったのではないでしょうか。
ニックを愛していた
夫の浮気を隠す妻は、どのような考えを持っているのでしょうか。
浮気されることが妻の恥だから隠したい。もしくは夫を愛しているから、浮気を無かったことにしたい。この2つが主だと思われます。
もしエイミーがニックを本当に愛していたら、彼の浮気を隠す可能性は高いでしょう。
そして日記にそのことを書かなければ、浮気は事実にならないと考えたのかもしれません。
ニックを陥れる計画の真意
日記に浮気の事実を書かなかったことで、エイミーが本気でニックを愛していたという可能性が浮上しました。
しかし彼女はニックを死刑にしようと試みていたのですから、この2つの行動は矛盾しているように感じます。
愛していたのならなぜニックを陥れる計画をしたのでしょうか。
妊娠
失踪からニックのもとに戻ってきたエイミーは、彼に妊娠を報告しました。
ニックは驚愕して怒りを覚えましたが、そもそも彼は子どもを欲しがっていたはずです。
それに最初の頃、子どもを作ることに否定的だったのはエイミーの方でした。なぜエイミーは子どもを欲しがらなかったのでしょうか。
それはニックが完璧な夫ではなかったからかもしれません。しかも浮気を目撃してしまい、彼の子どもなんて要らないと思ったはずです。
自分を愛してくれる男性の子どもを産みたい。女性なら当たり前の意見でしょう。
仮にニックがずっとエイミーに愛を注いでいたら、彼女は最初からニックの子どもを欲しがったでしょう。
エイミーはニックを愛しているけれど、信用できない。