『パージ』シリーズの中で、犯罪をする人々にマスクを被る人々が現れます。
マスクを被る心理状態について、ニュースキャスターが心理学者の意見をもとに報道しています。
報道の中で、マスクを被る人々の心理状態はこのように紹介されていました。
- 「暴力行為をしたい」という行動を恥ずかしいことだと思っている
- 法律から解放されたことへの、儀式的・祝宴的要素を意味している
内面的な要素は大きく2つあり、犯罪行為への羞恥心を隠すため、パージを象徴するためのものと紹介されます。
どちらか一方、またはどちらも当てはまる、といったことは人それぞれでしょう。
マスクを被る内面的な理由は、これらのことが理由だったのです。
マスクを被る外面的理由
パージは12時間、殺人を含むすべての犯罪が許されます。
その時、殺人をしようと思えば誰を狙うでしょうか。快楽的な殺人もあれば、憎しみや恨み、妬みを持つ人への殺人もあるでしょう。
マスクを被ることで自身の顔の判別がつかなくなります。
つまり、憎しみや恨み、妬みを買っている相手から、自身を判別しにくくさせる効果があるのです。
マスクを被れば、堂々と表に出られます。こういった外面的要因も、マスクを被る理由に当てはまるのです。
マスクの意味合いの違い
『パージ』シリーズの象徴のように位置づけられるマスク。
本作『パージ:エクスぺリメント』においては、マスクには意味と見た目、それぞれ2つずつ違いがあると考えられます。
そこには市民が被るマスクと、NFFAが投入していた傭兵部隊という、大きな違いが存在していました。
住民のマスクと傭兵のマスク
映画の中で住民と傭兵のマスクは、はっきりとした違いを見せていました。
- 住民:間に合わせのマスクで統一感がない
- 傭兵:特徴的なマスクで数人で統一している
住民側のマスクは、雑な布切れ、量販店で以前買ったようなもの、赤ちゃんの人形の顔部分など家にあったものでした。
一方傭兵として上陸している方は、全員が同じ布製のマスクだったり、マスクとしてかなり作り込まれているものだったりでした。
映画内では、マスクの見た目がこのような違いで表されています。
実は、この住民と傭兵のマスクの見た目の違いには、マスクに対する理由や意味合いがかなり違うことが予想できるのです。
マスクを被る理由・意味合いの違い
住民と傭兵で被っているマスクが見た目だけでなく、理由や意味合いが以下のように違うと思われます。
- 住民:先述したような内面的・外面的理由からマスクを被る
- 傭兵:チームを判別し、傭兵(この地域の住民でない)ことを悟られないためにマスクを被る
本作『パージ:エクスペリメント』では、マスクを被る理由にこのような、2つの理由・意味合いで分けられるのです。
本作はパージ法制定前の時代設定あるため、マスクを被る理由が2つもあるのは、シリーズの中でもこの作品だけかもしれません。
アメリカの社会情勢を批判する映画『パージ』シリーズ
ホラー要素の多い『パージ』シリーズですが、その中身はアメリカの社会情勢を批判する内容を含んでいます。
パージ法が制定される背景は、まさにアメリカの社会情勢を背景とした法律でした。
この社会情勢に対する政策がどんな成果を表すのかが、『パージ』シリーズの1~3作目に当たるのです。
またどんな成果をもたらすのかは、映画ラストの映像に現れています。
ラストの映像では、アメリカ国旗がポール先端から3分の1ほど下で掲げられていました。つまり半旗だったのです。
半旗は弔意を表すのですが、それはパージ法を制定したアメリカという国に対する弔意なのかもしれません。
本作を社会状況に照らし合わせながら観ると、『パージ』シリーズをより深く理解できるものになるはずです。