出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B085112X4H/?tag=cinema-notes-22
人間の社会には目に見えない境界線がいくつもあると思いませんか?例えば見た目や性別だけで人を差別をすることです。
知らず知らずのうちに自分の尺度で人を振り分け心の中にボーダーラインを引くのです。
今回は北欧で言い伝えられている妖精“トロール”を題材にした映画、『ボーダー二つの世界』のティーナにスポットをあて考察していきます。
2018年のスェーデン映画で日本では2019年10月にキノフィルムズより公開された、サスペンス・ファンタジー作品。
原作:ヨン・アイヴィデ・リンドクヴィストのアンソロジー集『Pappersväggar』内の同名作品
監督:アリ・アッバシ
出演者:エヴァ・メランデル、エーロ・ミロノフ
受賞歴:アカデミー賞「メイクアップ&ヘアスタイリング賞」、カンヌ国際映画祭「ある視点賞」を受賞
引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/ボーダー_二つの世界
「トロール」とは?
北欧の国々に言い伝わる妖精の一種ですが、そのイメージは国によって異なるものの巨大かつ怪力で、酷い怪我を負っても再生が可能です。
容姿は醜悪で知能も高くなく凶暴で粗暴な生き物というのが一般的で、『ロードオブザリング』などでおなじみになったキャラクターであります。
そこで、映画の舞台となっているスエーデンでのトロールのイメージを知っておくと、この作品の観方も面白いのでご紹介します。
- 丘陵地などで暮らしているためベルグフォルク「丘の人々」と呼ばれています。
- 騒音を嫌い教会の鐘からも離れて暮らしていました。
- 気に入った人間には富と幸運をもたらすが、気に入らないと不運と破壊をもたらしました。
- 子供をさらい、財宝も盗み住処には財宝で光輝くと言われています。
トロールと知らずに苦悩していた人生
ティーナの嗅覚が導いた運命
港の税関職員として働くティーナの運命を動かしたのはティーナの持った人並外れた嗅覚です。
それは乗船客が下船する時に通りすぎるだけで、人間の心の中に潜む羞恥や罪悪感、怒りを嗅ぎ分け持ち物に違法な物があると察知するのです。
しかし、その能力は同僚のティーナに対する嫌悪感までも嗅ぎ取ってしまうので、彼女はたびたび落ち込んでしまいます。
容姿で苦悩し孤独なティーナ
ティーナは優れた嗅覚がどうして備わっているのかは分からず、染色体異常で生まれた為に容姿が醜いと信じ生きてきました。
ティーナには夫もいましたが、生殖器にも異常があるため夫婦の営みができず子供ができないと悩んでいたのです。
人の目を避けるように山奥の森の中で生活をしていたのには、そういう理由もあったのでしょう。
人間社会に適応したトロール
ティーナは自分の身体に違和感を覚えながらも生活していましたが、乗船客のヴォーレに何かを嗅ぎつけ取り調べをしたことで転機が訪れます。
ヴォーレはトロールであることを明かし、本能でティーナもトロールと認知しましたが「人間社会に適応」したトロールだと指摘するのでした。