お願い。家族に会いたい。家族に会わせてちょうだい
引用:アメリカン・アサシン/配給会社:ライオンズゲート
ゴーストはこれを利用して、ミッチに銃を下ろすよう促しますが、事情を知るミッチから見ればアニカの家族は天国にいるはず。
つまり家族に会う、ということは「殺せ」という意味なのです。これが分かっているから、ミッチは躊躇しました。
さすがCIA。この状況のこのセリフはゴーストを騙せるし、ミッチには本当の意味を伝えられる言葉です。
アニカは父と兄を失った上に、叔父まで失ったので悲観に暮れていました。
だからこそ、ゴーストを止めるため自身の命と引き換えに、ミッチが作戦を遂行できなくなることを嫌ったのです。
このことから、アニカがゴーストの一瞬の隙を突き、銃口を自身に向けて自殺を図ったことが分かります。
イランを利用してアメリカに復讐
ではアニカを人質にとるゴーストは、一体何が目的で一連の犯行を行っていたのでしょうか。
そこには、見捨てられたアメリカに対する復讐心を燃やすゴーストがいたのです。
イスラム教とユダヤ教の争い
世界的な問題の一つに、中東にあるイスラエル(ユダヤ教国家)と周辺のイスラム国家(イスラム教)の争いがあります。
中東戦争などで知られるこの地域は、ユダヤ教・イスラム教の聖地であるエルサレムを巡る争いが絶えません。
世界ではこの争いをパレスチナ問題と呼び、いまだにイスラエル国内では小さな紛争が続いています。
この争いのイラン側、つまりイスラム教側の味方についたのがゴーストでした。
イスラエルを攻撃したがるイランを「利用」
イランの中でもアメリカとの核協定に不満を持つ政治家は多くいました。
今回の事件の裏にいるのは、ロスタニ将軍だ。我が国の参謀総長。それから国防大臣のベフルーズだ。
引用:アメリカン・アサシン/配給会社:ライオンズゲート
アニカの叔父であるアシャーニが、スタンに教えた今回の事件の裏事情です。
イランはイスラエルを狙ってロシアの濃縮されたプルトニウムを盗み出し、起爆装置や技術者を集めるのでした。
ゴーストは、このイランの動きを助けるために活動します。
しかし、それはゴーストの本当の目的でなく、イランを「利用」して核を奪うことが、ゴーストの本当の目的でした。
アメリカへの復讐
イランの高官を裏切って射殺し、核兵器を奪って起爆装置のスイッチを入れる瞬間に、ゴーストはスタンにこう叫びます。
大勢のアメリカ人が焼け死ぬ。あんたの責任だぞ。ショーを楽しめ。
引用:アメリカン・アサシン/配給会社:ライオンズゲート
こう言葉を放って、海に核兵器と一緒に飛び出し、ゴーストが向かうのはアメリカ第六艦隊の演習場所でした。
つまり艦隊が演習しているところに参上し、核兵器を爆発させてアメリカを攻撃しようとしたのです。
なぜアメリカを攻撃するのかというと、以前アレッポ(シリア内戦の激戦地)でスタンと行動しているときに捕まったから。
捕まって拷問を受けているのにCIAは助けに来ません。だからこそ、ゴーストは自分をその境地へ追いやったアメリカに復讐を誓うのです。
恩師スタンへの復讐
スタンはゴーストが捕まったのを、命令違反をするゴーストが悪いと語りますが、ゴーストはそのように思っていません。
すべてスタンが悪いと思っており、自身が拷問を受けてきたのもスタンが見捨てたからだと思っています。
確かにCIAとして隠密行動をする以上、私情に流されず目的を達成することのみを考えることが大切です。
また、スタン自身も鬼教官として諜報員を鍛える時には、そう指導していました。
つまりゴーストは、スタンに対する逆恨みからイランを利用することを思いついたのです。
そしてスタンから教わったことで、スタンに復讐し、さらにはアメリカ全体への復讐を果たそうとするのでした。