出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B076D9KQWL/?tag=cinema-notes-22
本作は榊英雄監督の元「アリーキャット」製作委員によって作られた日本映画です。
主演は窪塚洋介とDragon Ashボーカルの降谷建志という異色の組み合わせが話題になりました。
更に玉木役にはお笑い芸人の品川祐、シングルマザー冴子には市川由衣と豪華キャストを配しています。
物語は飼い猫に逃げられた元ボクサー秀晃(マル)が猫を拾った整備工の郁巳(リリィ)との出会いからでした。
二人はシングルマザー冴子と関わっていく中で奇妙な事件へと巻き込まれていってしまうのです。
本稿ではそんなシングルマザー冴子が朝にキスした意味をネタバレ込みで考察していきます。
また、車に冴子を乗せようとした男たちの正体や柿沢を水死させた犯人についても見ていきましょう。
野良猫たちの物語
本作は一言でいえば“野良猫たちの物語”です。飼い猫を通して全く接点のなかった者達が出会います。
元ボクサーに整備工、そして訳ありのシングルマザーとその元恋人のストーカー、そして経営コンサルタント。
普通に生きていたら出会うことのない単独主義者≒野良猫たちが出会い奇妙な事件へと巻き込まれていくのです。
野良猫の世界は明日を生きられる保障がない厳しい世界であり、正に本作はそのような世界観で描かれています。
そのような野良猫たちが出会い、ひょんなことから徒党を組んでほっとけないからと協力していくのです。
そんな野良猫たちの織りなす独特の暗い物語が本作の作風を大きく形成しているのではないでしょうか。
冴子が朝にキスした意味
物語終盤、冴子は朝に一緒に海外に逃げてはどうかとキスして説得するシーンがあります。
彼女は決して朝と深い関係だったわけではないのに何故このような行動を取ったのでしょうか?
冴子の性格や朝との関係を整理しながら、じっくり考察していきましょう。
体裁を守った
結論からいえば、冴子の言葉とキス自体は朝のやったことに対して体裁を守っただけです。
冴子は託児所に息子の隼人を預けている以上海外逃亡の余裕も資金はありません。
ただ、瀕死の重傷で動きたくない朝を動かすにはそれ相応の説得スキルが必要となります。
そこで朝が世間に全てを公表して海外逃亡を勧めたことを逆手に利用したのではないでしょうか。
朝はこの辺り結構義理堅い性格として描かれているので、彼女も無碍には出来なかったのでしょう。
恐らくはそうした朝の性格につけ込んでのことだったと思われます。
ボディガードとして利用した
二つ目に、冴子と朝の関係はあくまでもボディガードとその依頼人という利害関係でしかありません。
冴子が朝に求めていたのはあくまでも自分の身の安全を守って欲しいということだったのです。
だからもしここで朝に倒れられたら自分の身を守ることが出来る者が居なくなってしまいます。
玉木の執拗なストーキングから逃げている最中でしたから尚更一人でどうなるかも分かりません。