野良猫は根無し草な彼女たちの存在とかぶる存在です。
定住してもいいのか否かの判断が定まらないからこそ、彼女たちは定職を探そうとしなかったのでしょう。
バッグの大金
バッグの中の大金はタケが長年送り続けていたものです。
「いつか返そう」という考えの元手を付けずにバッグに貯め込んでいたように思えますが、実は違う見方もできます。
大金を持つぐらいなら金額を把握して銀行に預けたほうが安全です。
しかし、2人は父の手紙と共にバッグに大金を入れていました。
パウチに入れた手紙と一緒に入れて持ち歩く…ずっと身近に置いておくことから、バッグの存在が2人の安定剤になっていると考えれらます。
どうしようもない時に使えるお金は心に安心を与えます。
また、会ったことの無い父の存在に縋る気持ちもあったのでしょう。
大金と手紙の入ったこのかばんこそ、彼女たちの心の支えであり2人を過去に縛り付けていた存在だったのです。
依存症の姉
支え合う姉妹2人ではあるものの、生活の大半はまひろが支えています。
姉であるやひろは料理も仕事もできません。
まひろが家を出るという発言をしたときも、自分はどうしたらいいのかと質問するあたりに強い依存性を感じられます。
しかし、生活能力のまったくないやひろですが思い切りの良さだけは持っています。
天真爛漫なお馬鹿キャラは、その存在と即決力でまひろと貫太郎を支える一面もあったのでしょう。
そんな周りに頼るだけの姉がどのように成長していくのかもまた、ストーリーのスパイスであり注目ポイントの1つなのです。
公園の爆発音の正体は?
アルバトロス作戦が動き出す少し前、まひろとやひろは公園のベンチで2回の爆発音を耳にします。
2人はさらりと流しますが、観ている側にとっては『銃声』にしか聞こえません。
貫太郎の持っていた拳銃が実は本物だったのでは?
苦し気な顔で汗をかきながら登場した貫太郎は、実はどこかで撃たれていたのでは?
と匂わせてくるシーンです。
破裂音の正体は爆竹
銃声だと思っていた公園の爆発音の正体は『爆竹』です。
貫太郎はアルバトロス作戦の決行にあたり、ピストルの音を再現しなければなりませんでした。
しかし、貫太郎自身は過去のいじめのトラウマから大きな音が大の苦手です。
そんな弱点を克服するために、公園で爆竹を使い大きな音に慣れようとしていたのです。
貫太郎はトラウマを克服できたのか
公園での爆竹、そしてアルバトロス作戦での銃声(に見せかけた爆発)も、貫太郎は大量の汗をかきながらこらえました。
しかし、貫太郎自身がトラウマを克服できたとはいえません。
公園でもアルバトロス作戦の最中も、貫太郎は大量の汗をかいています。
完全にトラウマを乗り越えていたのなら冷や汗1つかかずに対応できたはずです。
結果として成功したアルバトロス作戦ではあるものの、貫太郎がトラウマを完全に克服するにはまだまだ時間が必要そうです。
「できすぎ」だからこそ感じる違和感
一世一代の大勝負(詐欺)を終えてバラバラになったタケとテツとまひろたち。
まひろからタケに届いた手紙には、死んだはずのネコまでもが再び現れたようだと書かれていました。
まともな生活と大金を手に入れて気づいたのは、人生が軌道修正されたという「できすぎ」感。
たんなる詐欺映画であればここでスッキリと終わっていたのかもしれません。
しかし、タケの感じた「できすぎ」な筋書きに対する違和感がここから真実を暴いていきます。
変化した生活
タケとまひろたちは、アルバトロス作戦後はまともな生活を送っているようでした。
まひろたちはそれぞれまともな仕事につき安定した生活を。
タケ自身も詐欺に手を出すことなく、川辺のアパートで質素な生活をしています。