果たしてこの炎の存在にはどんな真意が隠されているのでしょうか?

プロメアの意識を読み取った

まずガロを救ったリオの炎の意図はプロメアの意識を垣間見たからに他なりません。

これまでどちらかといえば「悪」の象徴であった炎を逆にプロメアを満足させることに使うと決めたのです。

その為にはリオの力だけでは到底不可能なのでまず何が何でもガロを生き延びさせないといけません。

これは咄嗟の判断力に優れたリオだからこそ立案できた作戦だったのではないでしょうか。

完全全焼

完全燃焼―闘将日記完結編

二つ目にリオは「完全燃焼」という言葉を口にしますが、これには三つの意味があります。

一つが物理的に世界をとことんまで燃やし尽くすこと、二つ目に精神的にプロメアを満足させること。

そして三つ目がガロの「燃やして救う」とリオの「全て燃やし尽くす」を掛け合わせた完全燃焼です。

つまりこれまで全く正反対のスタンスだった二人の道が重なってのカタルシスとなります。

物語の紆余曲折を経ての美しさと映像面での炎の美しさ、双方がこの瞬間綺麗に調和したのです。

似た者同士

似た者同士 (ハーレクイン・ロマンス)

そしてここではっきりと見えてくることはガロとリオ、二人が本質的に似た者同士であることです。

燃えるハートで冷静に戦うガロと表面上の冷静さの奥底に飽くなき情熱を持ったリオ。

外面と内面がまるで正反対の二人がそれ故にこそお互いの魅力を引き立て高め合います。

それを外さずにしっかり芯を捉えているからこそ二人のデウス・エクス・マキナは最高に美しい画となるのです。

信念は何をも超越する

信念に生きる ― ネルソン・マンデラの行動哲学

本作が「炎上」という今のネット界隈で特に目にするものを救急と繋げて描いた意味は何なのでしょうか?

それは恐らく己の信念に従って動けば、どんな苦しい壁であっても超えられるということです。

本作には絶対悪は出てこず、全員が人々を救いたいという思いからスタートしています。

しかしそれでも勝ち残ったガロとリオは信念が極めて強い二人として描かれていました。

単なる友情でもなければ仕事仲間というわけでもない、もっとそれを超えた“絆”が描かれています。

正しい間違いではなく、自分の言葉や心にどれだけ本気の覚悟と決意を伴わせられるかが大事なのです。

ガロとリオをはじめ本作で描かれたレスキューヒーローとは正に「信念」の人達でした。

まとめ

『プロメア』(通常版) [Blu-ray]

本作は突き詰めると凄く緻密に練られた設定でありながら、それを信念と熱さでどんどん吹き飛ばします。

それが何故輝かしく見えるのかといえば今の時代にこそ信念が求められているからでしょう。

世の中何かを真面目に頑張ったり、その過程で傷ついたりすることは時に格好悪く恥ずかしく見え滑稽です。

ましてや今そんなに頑張らなくてもそこそこの幸せを手に出来る豊かな時代になりました。

ですが、本当にそれで幸せだと、胸を張って生きているといえるのでしょうか?

そんなことをストレートにグイグイ問いかけてくる本作は心の部分にそれだけ深く問う魂の物語です。

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