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本作は東京大学史料編纂所教授・山本博文の『「忠臣蔵」の決算書』を元に2019年実写映画化されました。

監督は中村義洋、キャストは主演に堤真一、助演に岡村隆史と数々の豪華キャストを起用しています。

忠臣蔵は時代劇でも有名な演目・題材の一つであり、「三国志演義」のような史実を脚色した創作物です。

本作は何とそれを経済観念的な資産運用の点から完全な喜劇に仕立ててしまうお笑い映画となっています。

キャストの半数近くが吉本のお笑い芸人などで構成されているのも、そうした喜劇色を強く出すためです。

今回はラストシーンの工作費を受け取った瑤泉院の想いを徹底考察していきます。

また、内蔵助が息子に漏らした理由、赤穂浪士たちの心情もそれに併せて見ていきましょう。

ビジネス化する時代劇

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全体の構造として特徴的なのは忠臣蔵が現代ビジネスに取り込まれているということです。

これは現代人にとって時代劇自体が過去の文化になってしまっている証左でもあります。

忠臣蔵は浅野内匠頭を処刑された赤穂浪士たちが討ち入りを果たそうとするお話です。

一見格好よさそうですが、やってることは親分を殺された逆恨みに走るヤクザの子分達と何も変わりません。

そのような話をさも美談に仕立て上げるおかしさを経済観念を用いて喜劇にしてしまうのです。

このような新解釈のビジネス時代劇が出たことは良きにつけ悪しきにつけ時代の変化を感じさせます。

工作費を受け取った瑤泉院

「決算!忠臣蔵」ではラストで大石内蔵助から工作費100両を受け取るシーンがあります。

内蔵助はこれまでの金遣いの荒さが祟って彼女へのお目通りすらも赦されていませんでした。

そんな彼女が大石から工作費を受け取って感じたことは何なのでしょうか?

呆れ

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一見美談っぽく描かれているこのシーンですが、瑤泉院は別に内蔵助を見直した訳ではありません。

それどころか想像を超える金遣いの荒さと100両もの負債を抱え込んでいたことに呆れてすらいます。

内蔵助が渡した工作費100両は利益でも何でもなく負債をゼロにしたに過ぎません。

経済観念にうるさくお金で私情を挟まないのが本作における瑤泉院ですから感動はしていないでしょう。

強いて言えば赤字を帳消しにしただけまだマシ程度の感情しかないのではないでしょうか。

男は馬鹿な生き物

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瑤泉院の内蔵助への呆れが特に露骨に出るのは内蔵助が赤穂浪士たちと共に討ち入りを果たした後です。

あの後島流しにされた赤穂浪士達の息子らを救い出すことに助力するという尻拭いをすることになります。

「あの100両では足りない」と呟いたことが彼女の内蔵助や赤穂浪士たちに対する率直な心情でしょう。

予算のやりくりもまともに出来ず、自己満足の討ち入りの後に残るものは徒労だけなのです。

結局瑤泉院にとって男は馬鹿な生き物というのをほぼ諦観のようにして思っていたのではないでしょうか。

金の切れ目が縁の切れ目

100両をきっかけに内蔵助と瑤泉院の縁はほぼ切れますが、金の切れ目が縁の切れ目という奴でしょうか。

お金とは信用で、「クレジットカード」という単語に「クレジット(信用)」があることからも明白です。

コミカルに表現されますが、瑤泉院は金遣いが荒い赤穂浪士たちへの信用はゼロに等しいでしょう。

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