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【カーマイン・ストリート・ギター】ショップで扱われたギターを徹底考察。廃材が生み出すドラマに人生を動かされた人物とは

木は生き物だとリックは思っています。

その時代を全て吸収した廃材をそのまま生かすことがリックのギターの魅力でしょう。

チェルシーホテルやリンカーンホテル、チャムリーズなどもう二度と手に入らない貴重な素材です。

リックは廃材の調達のことを『救い出す行為』だと思っています。

まさにその通りで虫食いのチェスナットやマクソリーズのカウンターなど彼の店は宝の山です。

チャーリー・セクストン

明日への轍

チャーリー・セクストンはボブ・ディランバンドの名手です。

氷室京介のアルバムにも参加しているので日本でも著名なギタープレイヤーでしょう。

チャーリーの弾いたマクソリーズのカウンターギター

チャーリー・セクストンが来たときにリックはできたばかりのマクソリーズのギターを弾かせます。

その時チャーリーはニックに聞きました。

これはできたばかりなんだよね?

引用:カーマイン・ストリート・ギター/配給会社:ビターズエンド

この言葉はリックギターの魅力を語りつくしています。

ギターになる前にその素材が積み重ねてきた歴史を壊すことなく再生させるのがリックの信念なのでしょう。

解体の時のハンマーの傷でさえ人間の顔のしわと同じと言い切るギター職人は古いものにしかない味を知っているのです。

その古材にしか出せないニューヨークの音に一流のギタリストたちはノスタルジーを感じるのでしょう。

パティ・スミス・バンドのレニー・ケイの言葉も印象的でした。

まるでニューヨークの一部を弾いているようだ。

引用:カーマイン・ストリート・ギター/配給会社:ビターズエンド

ボブ・ディランのギター

ボブ・ディランもリックの古材ギターを気に入っています。

彼は自分のギターのシミを指さして微笑みながら言うそうです。

これは昔オレがこぼしたエール・ビールのシミだ。

引用:カーマイン・ストリート・ギター/配給会社:ビターズエンド

仲間と語らい楽しい時間を過ごしたその場所を切り取りギターとして持ち歩けるとはなんと素晴らしい事でしょうか。

特別な存在であるカーマイン・ストリート・ギター

カーマイン・ストリート・ギター-字幕版-リック・ケリー

本作の中で作り続けていたマクソリーズのギターはチャーリー・セクストンの手に渡りました。

ニューヨークで最も古いバーの廃材が蘇った瞬間です。

チャーリーはリックに聞きました。

いつまで続けるの?

引用:カーマイン・ストリート・ギター/配給会社:ビターズエンド

リックは笑いながら言いました。

ずっと続けるよ。

引用:カーマイン・ストリート・ギター/配給会社:ビターズエンド

変わり続けるニューヨークとの対比

世界の中でも一番変化の波が早いニューヨークで変化を拒否することはとても勇気のいることです。

リックは木を愛し街を愛しギターを愛しています。

変化することを嫌うのではなく、変化することを必要としていない場所。

それがカーマイン・ストリート・ギターです。

時代に取り残された『廃材』だけが持つドラマを感じることができる繊細な心。

カーマイン・ストリート・ギターが特別な場所と言われる理由はそこにあるようです。

ドロシーとシンディ

ドローン映像@New-York-D-ron

ドロシーが何度直しても傾くロバート・クワインの写真のシーンが印象的でしたね。

そしてリックの弟子であるシンディは新しく生まれ変わるニューヨークを象徴しているかのようです。

命あるものいつかは消えます。消えゆく運命にあるものができる事はその技術を伝えることでしょう。

古いものをバカにしたり粗末にしたりせず、敬意を持ってその技術と精神を継承することは残るものの務めです。

リックとシンディはまさにそういう絆を持っています。

この映画のテーマはこのです。

変わるだけが進化ではないと伝えたいのだと感じます。

観終わった後、なぜかほのぼのとした気分になっている自分に気づく不思議な映画でした。