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2019年公開の本作は2008年に起こった「リーマンショック」を題材に製作された犯罪映画です。
女流映画監督ローリーン・スカファリアの名を世に知らしめた本作はウォール街での実話犯罪録を基にしています。
主演は「クレイジー・リッチ!」で有名なコンスタン・ウーに人気女優ジェニファー・ロペスという気合の入れよう。
いわゆる格差社会と職業差別をテーマにか弱き二人の女性犯罪者の悲喜交々を描いた為に評価も非常に高いです。
アカデミー賞まで噂されていながらノミネートに終わり「隠れた名作」となってしまったのが惜しまれます。
本稿では実力派女優が演じるラモーナとデスティニーの今後についてネタバレ込みで考察していきましょう。
また、二人の涙の別れの真意や最後に語られたお金の本質などもじっくり見ていきましょう。
リーマンショック
リーマンショックとは2008年9月にリーマンブラザーズが経営破綻した結果広がったものとなっています。
その経営破綻の原因はサブプライムローン(低所得者向け住宅ローン)への無茶な投資を続けたことでした。
要するに裕福なお金持ちしか買えない住宅を毎月の支払額を低めに設定して売りつける詐欺紛いの商法です。
今では信じられないことですが当時のアメリカはこれを平気な顔してやっていました。
本作はそんな歪んだ投資の元に起こった不景気の余波が犯罪という形で出たという背景があります。
ただの犯罪映画ではなくより緻密で奥深い経済のリテラシーの元に描かれたのが本作の犯罪なのです。
二人の今後
本作の主人公はどちらもストップクラブで働くストリッパー、即ち社会から忌避されがちな職業の人達です。
その二人は紆余曲折の末に裕福なお金持ちから大金を騙し取る詐欺を行い、逮捕され実刑判決となりました。
本作の冒頭とラストは逮捕後なのですが、ラモーナとデスティニーは今後どうなるのでしょうか?
連絡を取って再会
やはりデスティニーとラモーナは連絡を取って再会したというのが自然な流れではないでしょうか。
二人の関係はあくまで”仕事仲間”でしたが、決して利害だけで付き合っていたわけではありません。
その証拠がジャーナリストのエリザベスにラモーナが出会った時に見せた少女時代のデスティニーの写真です。
本当にただの仕事仲間というドライな関係ならプライベートな写真を見せたりなどしないでしょう。
離れていてもお互いを大切に思っているからこそこのような関係が出来てくるのです。
二人を真に結びつけているのはお金だけでも仕事の利害だけでもない、もっと深い情の部分です。
その部分で強い絆があることが窺えるので、きっと連絡を取って再会したことでしょう。
更生か犯罪か
二人が果たして社会人として更生したのか、それともまた犯罪者となったかは分かりません。
確実にいえるのはデスティニーもラモーナも本気になれば大金を稼ぐ力はあるということだけです。
ただし、一度とことんまでお金に関する悪を極めた二人なので更生は難しいのではないでしょうか。
何故ならば二人の動機は女性という立場とストリッパーという職業だけで差別・迫害を受けてきたからです。