魅力の一つは男として最低の行為をしていながらワルになり切れない所です。

マークの恋人を寝取った件でももっと巧妙に嘘をつけばいいのにそれが出来ません。

女好きにしてももっと非情に徹してダメだったら次と割り切っていけばいいのです。

彼はそのどちらも出来ず、一度抱いたブリジットの良さが忘れられずに戻ってきてしまいます。

その悪党になり切れない子犬のような可愛さが一つ彼の魅力ではないでしょうか。

堅苦しい所がない

その堅苦しい話し方は、行きすぎです! ~エグゼクティブが実践している「話す技法」~

マークとの対比で見るならば、彼のチャラさは同時に堅苦しい所がない取っつきやすさへと繋がります。

ブリジットが転職するまで彼に感じていたのもそうした取っつきやすさではないでしょうか。

恋愛を分かっている女性はこういう男に引っかかりませんが、経験値ゼロの彼女には表面だけでも魅力となります。

そう考えるとマークとダニエルは二人足して割る位で程よいのかもしれません。

ブリジットの短所の映し鏡

ウォーホルの芸術~20世紀を映した鏡~ (光文社新書)

そして三つ目に、ダニエルはブリジットの短所の映し鏡であるといえるのではないでしょうか。

ダニエルはブリジットの貞操観念の低さを女好きという形で具現化した存在といえます。

だから彼女は一度完全にダニエルを突き放したにもかかわらず、またもや引き寄せてしまうのです。

この辺りがダニエルというダメ男の魅力に繋がっているのかも知れません。

ブリジットという対比があることでより彼の短所が魅力となるのです。

関わる人と環境が全て

環境変化と人間関係

本作をこうして考察していくと、人生が上手く行くか否かは関わる人と環境が全てということになります。

仕事に関してはリポーターに転職したことで上手く行きましたが、人間関係までは改善されていません。

何せ新年に掲げた目標を三日坊主で辞めてしまう位ですから、根っこはズボラなのでしょう。

そんなダメンズウォーカーのブリジットでも弁護士のマークを恋人にすることが出来たのです。

彼女の頑張りが世の女性達の共感を多く呼び、大ヒットに繋がったのではないでしょうか。

完璧な人間関係などは幻想

失敗図鑑 すごい人ほどダメだった!

本作のラブコメとして最大の特徴は完璧な人間関係など所詮幻想でしかないということです。

どんな人間も大なり小なり短所があって、大事なのはその上で尚好きで居られるかどうかにあります。

短所を短所として描きつつ、それを責めるのではなく受け入れた上で肯定し許しているのです。

だからこそ頑なにならず、もっと肩の力を抜いて自然体で生きることが大切ではないでしょうか。

ダメ人間だってダメ人間なりの生き方はあるとしたことにこそ本作の愛しい魅力があります。

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