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【7月4日に生まれて】ロンの怒りを癒やした要因を徹底検証!本当は何に怒っていた?赤ん坊の声が彼の脳内に呼び戻した景色とは

出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B004M0PKFE/cinema-notes-22

「7月4日に生まれて」はロン・コーヴィッグの自叙伝を元に1989年に制作された映画です。

戦争を独自の観点から批判し、戦死者を英雄と呼ぶアメリカに大きな波紋を投げかけました。

戦争の英雄に憧れたロンは戦争に参加して何が変わったのか、彼の怒りは何に向けられていたのか。

ロンの脳裏に焼き付いた、赤ん坊の声が与えたダメージはどれ程大きかったのでしょう。

戦争という魔物に立ち向かう1人の男の心の叫びを徹底解明していきましょう。

映画の背景はベトナム戦争

動くものはすべて殺せ

「7月4日に 生まれて」は実話を映画化したものです。

背景は戦争、アメリカの黒歴史ともいえるベトナム戦争ですが作品を深読みする前に背景である戦争を詳しく理解しておきましょう。

動くものは全て殺せ

ジャーナリストのニック・タース著の本「動くものは全て殺せ」はベトナム戦争を語るものとして世界中で話題になりました。

劇中にも出てくるソンミ村での村民504人の無差別虐殺のような悲劇が、ごく普通にベトナムで行われていた事実が語られています。

ロンが生涯忘れられなくなった赤ん坊の泣き声は、戦争に参加したものすべての脳裏に焼き付いていることでしょう。

この非人間的な行為は、国防総省を筆頭に国ぐるみでの隠蔽が行われていたのです。

原作者ロン・コーヴィック

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映画の原本となった「7月4日に生まれて」の筆者ロン・コーヴィックは元アメリカ海兵隊員であり、反戦活動家です。

劇中のロンと同じように自ら海兵に志願し、脊髄損傷の重傷を負い名誉負傷章であるパープルハート章を授与されています。

そんな彼は、1970年に反戦運動を起こし生涯12回以上も逮捕されています。

映画同様、ロン・コーヴィックの心の怒りはよほど強かったのでしょう。

奇襲攻撃を受けたベトコンとは

劇中でロンが奇襲を受けたベトコンは、アメリカが支援する南ベトナムにおいて反アメリカを唱える南ベトナム解放民族戦線のことです。

ベトコンはアメリカの敵である北ベトナム(ベトナム民主共和国)に支援されています。

アメリカの反戦運動のきっかけ

ベトナム戦争を英雄視していたアメリカ国民が一転、反戦を唱えだしたきっかけがソンミ村ミライ集落を襲撃した事件です。

1968年にアメリカ陸軍が無抵抗の村人を無差別に射殺し、報道されたのです。

正義の為の戦争などないということをアメリカ国民が知った瞬間でもありました。

伏線からはじまる映画

国旗 アメリカ 星条旗 150㎝×90㎝ 大きいサイズ USA フラッグ スポーツ 運動会 イベンド インテリア コスプレ 小物 道具

映画は7月4日のアメリカ独立記念日のパレードからスタートします。

ロンはこの時、傷痍軍人たちを見つめますがこのシーンはのちのロンの運命を示唆するシーンとなっています。

またケネディ大統領の演説を聞いた母がロンにいう下記のセリフはラストシーンへの伏線になります。

お前が大勢の人々の前で演説をしている夢をみた

引用元:7月4日に生まれて/配給会社:ユニバーサル映画

また、この時のケネディ大統領の下記のセリフも、伏線になっているという見方もあります。

皆さんがこの国の為に尽くすのです

引用元:7月4日に生まれて/配給会社:ユニバーサル映画

ロンは理解されないことに怒りを感じた

takasu520洋画キャビネ写真 [トム・クルーズ 7月4日に生まれて」ロゴあり

愛国心の強いロンですが、戦争から戻った彼は常に心に怒りを持ち続けています。

彼は何を怒り、何が許せなかったのでしょう。

帰国したロンは理解されないことに怒りを感じた

ロンが出兵した際、アメリカは兵隊を愛国者として称えています。

しかしロンが帰国した時には一転、反戦ムード一色となり国の為に戦ってきたロンは肩身の狭い思いをしてしまうのです。

ロンの立場になってみると、世間は何と身勝手なことでしょう。

障害を負って帰国し、命を張って戦ってきた自分に石を投げるようなものです。

国の為に戦ったということを評価してくれない世間に対して怒りを感じるのは当然のことではないでしょうか。

偽善の取り繕いに怒りを感じた

自分の周囲の者が表面上だけ自分に暖かく接することを感じ取り、ロンはストレスをためていたのでしょう。

ロンは自分の正義を信じ戦争に参加しています。

しかし帰国してみるとまるで自分が犯罪者のような立場になっているのです。

帰国した時の周囲との温度差にいいようもない怒りが渦巻いたのです。

周囲の者も、微妙な立場のロンにどう接するべきか悩んでいたのかもしれません。 

戦争を正当化する者への怒り

ロンの中の怒りは、劇中で矛先が変わります。

戦闘に参加するという過ちを犯した自分に気が付き、自分を戦争へ導いた政府へ怒りが向くのです。

戦争を正当化し、罪なき人を殺害し続ける政府にロンは怒りをぶつけていきます。

ロンは理解されないと嘆くだけの自分から、怒りを動力に理解させてやるという発信者になる覚悟を決めたのです。

ロンの怒りを癒したものは

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家族や元恋人からも理解してもらえない怒りを抱えたロンは、ひとり悶え苦しみます。

そんなロンを癒したのは、同じ境遇を味わう者たちでした。

チャーリーとの悩みのぶつけ合い

戦争に参加し不自由な体となったロンは、同じ境遇のチャーリーに心の内をぶちまけます。

このシーンはお互いが八つ当たりをしているかのようにも映りますね。

おそらくくすぶっていた自分たちの怒りをぶつけあい、結果発散できたのでしょう。

ウィルソンの家族に許してもらえたこと

ロンはずっと心に引っかかっていたウィルソンの一件を、彼の家族に謝罪しています。

彼の行動は大きな覚悟が必要だったことでしょう。

しかしそのことで、ロンは初めて自分の行動を理解してもらうことが出来たのです。

ウィルソンの家族は、ロンの想いをくみ取ってくれました。ロンにとってこれほどの救いはなかったはずです。

赤ん坊の声は戦争のむなしさを知らせた

7月4日に生まれて (集英社文庫)

ロンは戦争で生涯消えない傷を負っています。それは体だけではありません。

加害者としての心の傷は、赤ん坊の泣き声と共に彼を引き裂いていくのです。

自分はスピーチをするような英雄ではないと感じた

自分達を絶賛する式典とは裏腹に、赤ん坊の声は全てがむなしい偽りであることをロンに知らせます。

無抵抗の村人を惨殺した兵士を英雄と称え、たいそうなスピーチをする。

赤ん坊の声はロンを正気にさせたといってもいいでしょう。

戦争という魔物に占領されていたロンの心に、戦争の斬撃を思い出させることで英雄でないということを教示したのです。

ロンは本物の男になれた

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7月4日という特別な日に生を受けたロンは、本物の男になる夢を持っていました。

本物の男とは

映画のテーマともいえる「本物の男」は戦争で功績を挙げた男ではありませんでした。

国の為という言葉も劇中では深い意味を持っています。

本物の男とは真の正義を知っている男であり、本当に国の為を思うのであれば道徳のある強国へと導くのが愛国心であるのです。

ロンは想像を超える辛い体験を通し、本物の男になれたのです。

戦争映画の難しさ

戦争をテーマにした映画は、国によって賛否両論の意見が出るのは仕方のないことです。

アメリカから標的とされた国では、自分の意志で戦争に参加し、勝手にトラウマを抱え込んだ男の話とみられます。

戦争は時を超え数多くの遺恨を残します。

そして両者ともに戦争という魔物の被害者であることを忘れてはいけないのではないでしょうか。

戦争に翻弄された男の物語

Vietnam: Airborne (Nam S.)

ハリウッドでは戦争に英雄を求める兆しが強いのが現状です。

しかしこの映画は、そんな正当化された戦争の在り方を1人の男がアメリカ中に訴えかける心の叫びなのです。

戦争で死んだ兵士を英雄とは呼ばない英雄だと思って死ぬ人はいない

「7月4日に生まれて」はアメリカに大きな問題を投げかけました。