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本作は2010年公開のCSX8888号暴走事故という実話をモデルとしたノンフィクション系アクション映画です。
トニー・スコット監督と主演のデンゼル・ワシントンが通算で5回目のコンビを組んだ作品となりました。
興行収入はかなりの好成績を収め、『メガマインド』に次ぐ週末興行収入2位を記録しています。
見所はベテラン機関士フランク・バーンズとクリス・パイン演じる新米車掌ウィル・コルソンの掛け合いです。
今回はまずそもそもこの貨物列車の暴走事故が何故起こったのかをネタバレ込みで追求していきましょう。
また、777号を止めた人の正体やガルビン運行部長がコニーの意見を退けた理由も併せて見ていきます。
トニー・スコット版「激突」
本作のモデルとなったCSX8888号暴走事故は日本でも度々取り上げられる程の大規模な列車事故でした。
その原因は様々あるわけですが、兎に角見せ方として素晴らしいのは「走る凶器」としての機関車や貨物列車です。
映画で列車パニックというと「大列車強盗」「サブウェイ123」のようにテロや犯罪行為の一環となります。
しかし、本作はそうではなく列車そのものが凶器として描かれるだけで98分もの間を繋いでいるのです。
正しくトニー・スコット版「激突」と解釈して差し支えない構造と出来映えになっております。
事故の原因
歴史上類を見ないほどの大事故となった777号の暴走事故ですが、果たしてその原因は何でしょうか?
あらすじなどを丁寧に追いながら、改めて掘り下げていきましょう。
デューイとギリースの職務怠慢
最初の原因は機関士のデューイとギリースの職務怠慢でした。
勝手な自己判断で分岐ポイントを変えたり自動ブレーキの為のブレーキホースを外したままにしたり。
仕事において上の指示を仰がない自己判断が如何に危険かは火を見るより明らかでしょう。
結果として777号は力行モードとなり、確認ミスと判断ミスの連鎖によってこの事態が引き起こされました。
しかしこれはまだほんの序の口に過ぎず、もっと恐ろしい事態が待ち構えています。
不可抗力の外因
皮肉なことに、この時の貨物列車777号にはディーゼル燃料と溶融フェノールが大量に積まれていました。
そしてまた777号が暴走した先の都市郊外には急カーブがあり、暴走した状態でこれを曲がることは不可能です。
このような人間側ではどうしようもない不可抗力の外因があったこともまた事故の原因となっています。
人間側がコントロール出来なくなってしまった大きな力は途端に自身の命を奪う危険要素の塊となるのです。
鉄道会社の管理体制の杜撰さ
そしてこれらの大元はそもそも鉄道会社の管理体制や経営が杜撰であったことも影響しています。
コスト削減の為にフランクのようなベテランを解雇し、一方でウィルを縁故採用にするという依怙贔屓までするのです。
これがウィルとフランクの険悪なムードの原因ともなっていますが、兎に角社員を全く大切にしない会社でした。
そのような体たらくで生産性が上がるわけもなく、意識の低さが末端の社員にまで影響しているのです。