ガルビンは劇中で極めて傲慢で自己中心的な人物として描かれており、人命より会社の損失を優先する人です。
典型的なお役所仕事タイプで、現場に出向かないどころか障害となると思われるものを平気で切り捨てます。
詰まるところが自己保身の塊であり、自分の下には典型的なイエスマンしかつけたくなかったのでしょう。
それ故に自分の意に反して動こうとするコニーやフランク・ウィル達が許せなかったのではないでしょうか。
自身の失敗を隠蔽するため
2つ目に彼もまた自己判断によって無茶な停止作戦を実行した挙句に何の責任も取っていません。
しかも殉職者まで出る羽目になり、こんなことが世間に知られたら一環の終わりです。
だからこそその失敗を何としても隠蔽し殉職者を「貴い犠牲」にするつもりだったのでしょう。
そこでもしコニー達に活躍されてしまうと完全に自分の立つ瀬がないのです。
だからこそ彼女達を足止めするという卑劣な言動・行動に出たのではないでしょうか。
因果応報
しかし、そうした自己保身極まるガルビンの言動・行動は因果応報として跳ね返ってきました。
社員を大切にしない会社の杜撰な体質、その元凶というか象徴ともいえる存在だったのです。
そのような人を蹴落とすことしか考えてない人間によって今回の暴走事故は引き起こされました。
もしこの時コニー達ときちんと連携を取っていればこのような大惨事にはならなかったでしょう。
ベテランから若手へ
そしてもう1つ、本作にはフランクとウィルを通してベテランから若手への“継承”も盛り込まれています。
最初は縁故採用で入っていて対立しながらも意識の低かったウィルが熱い性格へと変貌するのです。
その様はフランクをして「変わった」と評させ、更には別居中の家族を引き戻しました。
フランクとウィルはそういう意味で冒頭のデューイとギリースと対比される凹凸コンビでしょう。
デューイとギリースのいい加減な仕事ぶりがあるからこそ後半のフランクとウィルの活躍が引き立つのです。
そのような世代交代・継承としてもまた非常に象徴的な作品となっています。
シンプルな作品こそ中身が大事
本作はいわゆるパニックものの王道中の王道を行く作品でしたが、しかし同時に深いメッセージもありました。
それはシンプルな作品こそ如何にその内実を充実させられるかが大事であるということです。
単なる列車事故を止めるだけの作品ならば、盛り上がりは半減したでしょう。
本作はそこでモデルとなるCSX8888号暴走事故の原因と本質をしっかり分析した跡が見られます。
ヒューマンエラーとその背景にある様々な遠因、そして主人公達に次々と降りかかる内外の圧力等々。
そうした盛り上がりを決して破綻しない形で詰め込み、しかし無駄をそぎ落して非常にスマートに仕上がっています。