彼女は地雷を撤去するために命を賭してブリキの玩具を地面の中に埋めたのです。
となるとその死者の魂は成仏しきれておらず、マイクの前に姿を現したのかも知れません。
ベルベル人の父がそこにやって来たことで魂が引き合って幻へ姿を変えたのではないでしょうか。
少しホラーっぽくはなりますが、こういう可能性もあっておかしくはないでしょう。
地雷から足を離した理由
ベルベル人の男と少女の幻に助けられ、何とかマイクは窮地を凌ぐことが出来ました。
彼はベルベル人の男に「一歩を踏み出せ」との助言を貰って地雷から足を離したのです。
男の助言だけで足を離したように見えますが、しかしそこに至るには何か根拠があったと推測されます。
果たしてどういう理由で彼は足を離したのでしょうか?
ブリキの情報提供
1つにはベルベル人の娘がかつてブリキを地雷に埋めたという情報提供がありました。
このことによりもしかするとどこかで自分が踏んでいるのが地雷ではなくブリキだと気付いたかも知れません。
情報提供の有無は作品として大きく影響しており、勇気と無謀をはっきりと区別するものとなります。
このブリキの情報がなく飛び出したらただの無謀ですが、ブリキの情報があることで根拠ある勇気となりました。
主人公が起こす最後の奇跡にしっかり根拠を持たせる地均しがされているのが素晴らしい所です。
応戦部隊の情報提供
また、もう1つの前段階として近くでテロリストと応戦している部隊が情報提供をしていました。
それは古い地雷が7%の確率で爆発せず靴の底を切り圧力をかけながら脱出するという情報です。
近くに居る者からの具体的なアドバイスもまたマイクの心に幾分か安心を与えています。
もしこの情報提供がなかったら、それこそトミーと同じように両足が吹っ飛んでいたかもしれません。
下手なことはせずにまず丁寧な情報提供によって段取りをしっかり組むことで緩和しているのです。
過去の自分を乗り越えるため
その上でマイクの心情に焦点を当てると、過去の呪縛から解き放たれたい思いがあったのではないでしょうか。
父親に虐待されていたことや母の死、更にはその虐待を婚約者ジェニーにもしようとしていたことなどです。
彼は極限状態に追い込まれたことで否が応でも自分の弱さと向き合わざるを得ない状況に追い込まれました。
そんな弱気な自分を払拭するためにこの一歩を踏み出す一瞬に全てを賭けたのでしょう。
だからこそこの脱出シーンが本作のクライマックスにして物語の集約になり得たのです。
ジェニーへのプロポーズの意味
こうして無事に脱出を果たしたマイクは救助隊に救われ、空港でジェニーへプロポーズを果たしました。
果たしてこのプロポーズにはどのような意味があったのでしょうか?
報償
まず1つにはマイクという極限状態を乗り越えたヒーローへの報償ではないでしょうか。
いってみればこの極限状態は1人の兵士が精神面で一人前に成長する物語でもあるのです。
その試練に見事耐え抜き、普通の人だったら確実に潰れるプレッシャーを見事にはね除けました。