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『アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅』は2016年に公開されたディズニー映画です。
2010年の『アリス・イン・ワンダーランド』の続編として製作されました。
監督はジェームズ・ボビンで、前作の監督だったティム・バートンは製作および製作総指揮に回っています。
原題は『Alice Through the Looking Glass』で、原作である『不思議の国のアリス』の続編『鏡の国のアリス』と同じです。
しかし前作もそうですが、原作の世界観を踏襲してはいるもののストーリーはオリジナルで原作にはない人物も登場します。
観客全てを不思議な世界に導くような本作の魅力を深く考察していきましょう。
赤の女王の頭はなぜ膨れたのか
クロノスフィアで『赤の女王』が頭を打たないように過去に戻ったアリスでしたが、過去を変えることはできませんでした。
ハート形の頭
大きなハート形の頭が特徴の女王ですが、キャラクター的に原作の『ハートの女王』と『赤の女王』が統合されています。
『不思議の国のアリス』のトランプの世界の女王である冷酷で「死刑だ!」ばかりを繰り返すのが『ハートの女王』。
そして『鏡の国のアリス』のチェスの世界に登場する尊大な女王が『赤の女王』です。
この二つのキャラクターが融合して『大きなハート型の頭』を持った尊大な女王が誕生したと考えられます。
大きな頭になった理由
キャラクターである『大きな頭』に理由があったことが本作で明らかになりました。
『白の女王・ミラーナ』と『赤の女王・イラスベス』の確執の原因が子供のころについた『嘘』だったという事実です。
そしてそれが原因で強打したイラスベスの頭は膨れ上がってしまいました。
その上に戴冠式で笑ってしまったハッターに怒ったことが原因で更に大きく膨らんだのです。
その後も怒るたびに膨らむような描写がありました。
女王の頭はあの事故のせいで『怒り』の感情がたまってしまう『風船』のようになってしまったと考えられます。
赤の女王の『安定剤』タイムの役割
原作に無い独自のキャラクターである『タイム』は『時の化身』あるいは『時』そのもので重要な役目を持っています。
『時』の管理者
アリスの願いを聞いてやることはできませんでしたが、タイムの言っていることは至極まっとうなことでした。
むしろアリスの言っていることの方がハッターを救うためとはいえ理不尽なことです。
クロノスフィアを奪う場面ではタイムに申し訳ない気持ちになった方も多いのではないでしょうか。
人の寿命までを管理しているタイムは厳格な中にもユーモアがありどこか憎めません。
まるで敵のようにアリスを追いますが、それは世界を崩壊させないようにしていることです。
しゃべっていることが『逆の意味を表す』という特徴も持っています。
例えば、時間のことを「大切」と言いながら「どうでもいい」と言いました。
クロノスフィアのことも「ガラクタ」などと言っていましたが「絶対に取り戻さねば」と慌てます。
このことから最後にアリスに言った「もう二度と来ないで」は「また来いよ」という意味だったのかもしれません。
赤の女王との関係
赤の女王はタイムのことを『チクタク』と呼びタイムは赤の女王を『ダーリン』と呼びます。
またタイムは「誰からも愛されていない」と嘆く女王に「私は愛している」と言いました。
二人には親密な信頼関係があるのです。
しかし来るなり「プレゼント!」と手を出したり、もらったオルゴールを放り投げたりする女王。
かといってタイムを支配下に置いている感じでもありません。