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ジョエル・エドガートンが監督を務めた2019年日本公開の映画「ある少年の告白(Boy Erased)」。
ニコール・キッドマンやラッセル・クロウという豪華キャストが脇を固める、同性愛をテーマにした人間ドラマ作品です。
ルーカス・ヘッジズ演じる主人公ジャレッドは自分が同性愛者であることを両親に告白しますが、理解が得られません。
特に牧師である父親が同性愛を問題視し、ジャレッドを矯正施設へ入所させます。
しかしその施設では拷問のような更生プログラムが待ち受けていました。彼は無事に施設から出ることができるのでしょうか。
今回は、キャメロンが自殺した真意・サイクスがゲイを治療する理由・車窓から手を出す意味を考察します。
サイクスがゲイを治療する理由
エンドクレジット後のテロップに衝撃を受けた人も多かったと思います。
サイクスの元となった人物がゲイとして生きており、男性パートナーと暮らしているという事実が公開されたのですから。
ではなぜサイクスは、自分と同じ悩みを抱えるゲイの人々を治療していたのでしょうか。
信仰が優先
キリスト教においてゲイであることは不名誉なことであり、受け入れられません。
サイクスは恋愛と宗教を天秤にかけたとき、宗教に重きをおくことを決断したのではないでしょうか。
日本人の私たちには理解し難いですが、宗教は生活の一部であり人生と共にあるもの。それよりも恋愛を優先することは許されないのです。
だから牧師であるサイクスは自分を偽り続ける必要があったと考えられます。
そして牧師として「同性愛を矯正しなければならない」という強い信念を持っていたのではないでしょうか。
自分の甘さを隠す
同性愛を否定することは、自分を否定することと同義です。
本来なら自分を否定することは苦痛であり、容易に挫折するだろうと考えられます。
ですがサイクスは神様に仕える身ですから、手本となる存在でなければなりません。
そんな彼が他人の同性愛を許すことは、自分の同性愛にも許しを与えてしまう危険が出てくる可能性があります。
そのため同じ境遇にある人物に厳しく接することが、サイクス自身の同性愛に歯止めをかける手段になっていたのではないでしょうか。
そう考えると他人への厳しい言動は自分に向けたものだったのかもしれません。
治療の矛盾と目的
サイクスを中心とした更生施設では、独自の考えをもとに同性愛を否定し、更生していました。
この更生施設はどのような考え方を持っていたのでしょうか。
同性愛は選択可能
同性愛は生まれつきではないと語るものの、近親者に同性愛者がいないかどうか調べていました。
これは矛盾した治療と言わざるを得ません。
なぜなら近親者を調べるのは遺伝を疑っているわけですから、同性愛が生まれつきであると認めているのと同じなのです。