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映画『バタフライ・エフェクト(Butterfly Effect)』はバタフライ効果なるカオス理論をテーマにした作品です。
その完成度の高さ故評価も非常に高く、初登場でアメリカ一位を獲得した作品となっています。
主演のアシュトン・カッチャーと助演のエイミー・スマートの演技の掛け合いがその評価の高さに貢献しているのです。
物語は短期の記憶喪失があったエヴァンと幼なじみのケイリーの過去の記憶を巡るお話となっています。
自分のせいでケイリーが不幸な人生を送っていることを知ったエヴァンは運命を変えるために過去へ行くのです。
本稿ではエンディングでケイリーが振り向いた理由をネタバレ含めて考察していきましょう。
また父がエヴァンを殺そうとした真意についても併せて掘り下げていきます。
バタフライ効果とは
さて、本稿を考察していく上でまず欠かせないのはバタフライ効果という言葉の意味でしょう。
バタフライ効果とは初期の力関係に僅かな誤差があるか否かでその後の結果が完全に違った形に変化するという理論です。
元々は「ブラジルの1匹の蝶の羽ばたきはテキサスで竜巻を引き起こすか?」という問いかけの元に始まっています。
これが本作においては小さい頃の僅かな誤差でケイリーの人生を変えるエヴァンという構造で表現されているのです。
しかも過去の日記を書いたその時に戻って修正する力があるので、もしかするとエヴァンは特異点なのかもしれません。
そしてそれが本作独自の作風を作り上げており、エンディングでまるで異なった結果となったのです。
ケイリーが振り向いた理由
本稿のエンディングで大人になったケイリーとエヴァンがすれ違った際にケイリーは振り向きます。
果たしてケイリーがエンディングで振り向いたのは何故でしょうか?
あらすじを追いながら、じっくり見ていきましょう。
仕草や表情で示す温度差
まずこのシーンで大事なポイントはエヴァンとケイリーの間には温度差があるということです。
エヴァンの方は実はケイリーのことに何となく気付いていますが、ケイリーは全く気付いておらず訝しんでいます。
それはエヴァンのハッとした顔とケイリーのどこかムスッとした感じの終始冷静な顔の違いで表わされていました。
このシーンは直接的に明示するのではなく二人の絶妙な間と距離感・表情によって間接的に示されているのです。
だから、振り向く理由以前にまずエヴァンだけが気付いているというすれ違いにポイントが置かれています。
だから一見ハッピーエンドであるのですが、このシーンには一抹の寂しさ・切なさが表現されているのです。
赤の他人
ケイリーはこのシーンではエヴァンの存在を認知しておらず、全くの赤の他人だとしか思っていません。
しかもすれ違った直後にエヴァンが止まってしまったので、何かあるのかと一瞬思ってしまったのでしょう。
つまりこのすれ違いのシーンは特別に意味深なものではなく、ただ「何者だこの人は?」としか思っていません。
もしそこに運命的な何かを感じ取っていたらそれこそケイリーの方からアプローチがあったでしょう。