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単なるセクシュアルマイノリティの恋愛映画という印象で終わらせない、強い輝きを放つ『君の名前で僕を呼んで』。
主人公の二人や北イタリアの風景が美しく観る者を飽きさせません。しかしそれだけで作品がこれ程美しく仕上がるのでしょうか。
実はそれ以外にも映画の世界を美しく感じさせる理由があるようです。
彼らの恋はたった六週間という期間限定でした。
もし二人に別れが訪れないストーリーならば、彼らの夏はあれほど輝いて見えたでしょうか。
目に映る美しさ
私達が何かを美しいと感じる時、目に見えるものがまず先に心に訴えかけてくるでしょう。
この映画の場合にはメインの二人の容姿と北イタリアの風景が映画の世界観を美しいものにしているといえます。
外見の美しさ
少年っぽさが残るエリオとギリシャ彫刻のようなオリヴァー。彼らの美しさがなければこの映画は成立しなかったはずです。
線が細く、守ってあげたくなるようなエリオは女性的な雰囲気があります。対してオリヴァーは大人の男性の体つき。
普通ではお目にかかれないような美男子二人の恋愛はファンタジーにも近い感覚で見ることができたのかもしれません。
日常と切り離されていたからこそ彼らの世界が美しく感じたといえるでしょう。
北イタリアの田舎町という土地柄
私達が何かを美しいと感青い空と海そして太陽の光。一夏の思い出を演出するにふさわしい環境が整っていました。
映画の舞台が北イタリアの田舎町という限定された空間だったことも非日常を演出するのに最適だったのではないでしょうか。
また二人の関係が友情を超えて深まり、輝きを増していくに連れて美しい北イタリアの風景さえも背景と化していきます。
オリヴァーの素性
オリヴァーのアメリカでの生活が描かれていないことも、私達の心を北イタリアにとどめる要因になりました。
エリオが初めてオリヴァーを見た時「侵略者」と発言していた通り、オリヴァーは得たいの知れない人物でした。
彼がアメリカでどのような生活を送り、何を考えていたのか一切言及されていません。
与えられている情報は、ユダヤ人であることとヘラクレイストの研究をしている学生だということ。
素性が明かされていない分、観る者の想像力がオリヴァーを作り上げていくことになります。
オリヴァーはもしかしたら本当は嫌なやつだったかもしれません。
しかし何の先入観も無い状態でオリヴァーを見ることができたことがこの世界の美しさに繋がるのではないでしょうか。
周りの人の理解
二人の恋愛に批判や反対する人物はいませんでした。
多くのLGBT映画は周囲からの無理解や批判を受け、暗い作品に仕上がる傾向にあります。