出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B00FIWHV98/?tag=cinema-notes-22
1959年に公開された『ベン・ハー』は、ルー・ウォーレス著の同名小説が原作となっている映画です。
宗教色を色濃く出しながらも、制作費54億円をかけ圧倒的なスケールで描く世界観は観る者すべてを引き込んでいく映画といえます。
本作はチャールトン・ヘストン演じる「ベン・ハー」を中心に描かれていますが、主人公は本当に彼なのでしょうか。
そしてイエスを間接的に描きだし、奥深いラストシーンへと導く真意とは…。
劇中でイエスが癒したのは病だけではなかったのです。
主人公は交差する人物達
イエス・キリストの誕生シーンからはじまる本作ですが、観客の視点はユダヤ人王族のベン・ハーへと向かいます。
憎しみに翻弄される主人公は観る者の共感を呼びますが、彼の他にも主人公と呼ぶべき人物がいるのではないでしょうか。
主人公ベン・ハーの怒涛の生き方
タイトルにも掲げられているベン・ハーは、本作の明確な主人公といえるでしょう。
彼は正義感が強く、ヒーローと呼ぶべき存在です。
そんな彼が奴隷へと身を落とし、憎しみにまみれながら復讐者となる姿は人間の自然の姿なのかもしれません。
劇中で彼はエスターやアリウスなど自分の心を支えてくれる人物達に出会いますが、そんな様々な出会いも彼を救うことは出来ませんでした。
この映画のポイントは、まさにそこなのです!
主人公ベン・ハーを憎しみから救ったのは、出会った人々ではなく神の子イエス・キリストであると描かれていました。
立場の違いがメッサラの憎しみを生んだ
本作のもう一人の主人公といわれているのが、宿敵となったメッサラです。
劇中でベン・ハーとメッサラは立場やそれぞれの思惑がすれ違い、憎しみあう仇敵となっています。
人間は環境の生きものといわれますが、メッサラこそ運命に翻弄された人物として描かれているのではないでしょうか。
ローマの司令官という大きな権力を持ち、ゆえに野心という欲望に弄ばれてしまったのでしょう。
もしも自分がメッサラと同じ立場に生きていたら…、と視点を変えて本作を観てみるのも面白いかもしれません。
イエスこそが主人公だという意見もある
イエスの誕生からスタートする本作は、彼の誕生から死までを描いており、福音書に登場する「東方の三博士」も登場しています。
イエス側から観てみると、自分がなぜ人の罪を償って死んだのか…。