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予告からは想像できないような結末にたどり着く「グッドナイト・マミー」

会話の少ない映像から、観る人にさまざまな推理を立てさせるサイコスリラーとして印象深いホラー作品の1つです。

顔を包帯でぐるぐる巻きにした母親に対して別人じゃないかと疑心暗鬼になる双子たち…

いったい何が真実なのか…多すぎる伏線が結末を予想する視聴者を翻弄しまくるのも特徴です。

しかし、結末は思いのほか分かりやすく、サイコホラーファンであれば「やっぱりそう来るか」と感じさせる一面もあり。

後半に登場する子供ながらの拷問シーンこそ一番の見どころなのではと感じさせます。

今回は、そんな作中で気になるシーンを掘り下げて考察していきます。

1人分の食事や猫を殺した犯人についてを交えながら、監督が伝えたかったラストシーンの意味を考えていきましょう。

正しい結末から目を背けさせるタイトル

タイトル読本 (日本語) 単行本

「グッドナイト・マミー」は、原題とは大きく違う翻訳をされたタイトルです。

違いがあることに疑問を感じますが、これは翻訳者が作品の意図をしっかりと汲み取って付けた結果といえます。

タイトルの目的は、観る人の注目を得体の知れない母親に向けさせることです。

顔を包帯で覆った母親は、目だけが感情を伝える不気味な存在です。

それに加え作中での会話の少なさは、双子の兄弟が「あれは本当のママなのか?」と疑問を感じさせるに足るイメージを与えてきます。

驚きの結末で観る人をアッと言わせることこそ、このタイトルの大きな意義となっているのです。

原題の意味

オーストリア映画である本作の原題は「Ich seh Ich seh」。

「分かった分かった」と訳せてしまうドイツ語は、日本版のタイトルと大きく違います。

しかしこの「Ich seh」というドイツ語、直訳だとIch = 私 がseh = 見てる が2度繰り返されていることから

「見てるよ 見てるよ」とも訳せます。

原題の意味としてはこちらの方が正しいのでしょう。

双子の少年によって監視される母親、ずっと見ているという意味を込めた訳し方こそ原題が伝えたかった意図なのではないでしょうか。

ストーリーが大きく変化するジャンルスイッチムービー

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ヒッチコックの時代から観る人に驚きを与える「ジャンルスイッチムービー」

ストーリー中盤から恐怖の対象が母親から子供に代わるこの映画も、そのカテゴリーに入れられるホラー作品です。

母親の不気味さを感じる序盤から、母親を偽物だと詰め寄るときのエリアスとルーカスの行動。

大きく変化していくストーリーは観る人に衝撃と恐怖を与えていきます。

包帯からの解放

母親の顔を覆った包帯はある時を起点に外れます。

その起点となる部分は、森の中に母親が全裸で立ち尽くすという衝撃シーン。

服を脱ぎながら森の中にかけていき包帯を外して開放感を感じる母親の姿は、観る者に意味不明な恐怖を与えます。

この母親の行動はエリアスの夢オチなのですが、この包帯の有無恐怖のスイッチが切り替わっていくことになります。

整形手術の経過が良くなった母親は、顔から包帯を外して恐怖を脱ぎ去り普通の人になります。

しかし、母親に対する子供の疑惑や行動はここからエスカレートしていきます。

恐怖の対象が母親から子供に切り替るスイッチ、それこそが包帯に込められた意味だったのです。

存在しない少年

物語の中心は、双子の少年ルーカスとエリアスです。

そっくりで可愛らしい2人につい感情移入してしまいますが、実はルーカスは最初から存在しません

事故で死んでしまったルーカスを受け入れられず、そこに居るかのようにふるまうエリアスがこの映画の不気味な世界を作り上げていくのです。

現実逃避から生まれた存在

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ルーカスは事故ですでに死んでいます。

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