トールキンは有頂天になりエディスと高級サロンでお茶を飲んだり、T.C.B.S.の仲間に紹介したりしますがそれは逆にエディスを落胆させました。
エディスの夢
エディスがどのくらいの間、ミセス・フォークナーの家で暮らしていたかは不明ですがエディスはその生活から自由になることを夢見ています。
ここから出たい…自由になりたい。
自分が哀れな孤児だと感じないで済む場所に行きたい。
引用:トールキン 旅の始まり/配給会社:ディズニー
階級社会のイギリスにおいて孤児への扱いは奴隷同様でした。孤児は虐げられることが多かったので二人は恵まれていた環境だったと言えます。
それでも男児は学力優秀であれば優遇され、女児に関しては養父母にとって体のいい召使いとして扱われていたことがわかります。
エディスはトールキンとの出会いに自由になれる期待を大きく抱きますが、トールキンはエディスの孤独を本当には理解していませんでした。
仲間に自慢するだけのお飾りだったことをエディスは感じ、さらに孤独へと追い込まれていきました。
エディスの「21歳」までの壁
後見人のモーガン神父から成人となる21歳までは学業に専念するように諭されトールキンはエディスを説得します。
しかし、エディスはすでに我慢の限界が来ています。4~5年待てということは「諦めろ」という宣告にしか聞こえなかったのでしょう。
こんな私たちでも幸せになれると信じていた。でも、無理だわ所詮夢だった。
でも、あなたなら掴めるかも。オックスフォードを楽しんでね…。
引用:トールキン 旅の始まり/配給会社:ディズニー
エディスが他の男性と婚約したのは自由になれる選択肢が結婚しかないという現実があるからです。
それにトールキンがオックスフォードに行けば知識も人間関係も広がって、さらに自分の住む世界に差が広がることを悟っています。
また3歳年上ということも自分の将来に焦りも感じていたのではないでしょうか?
前線でジェフリーの声が聞こえた理由
ジェフリーはキング・エドワード校時代には最初の友達となり、オックスフォード時代には失恋したトールキンの心の支えになってくれました。
そして、第一次世界大戦への出兵の日もジェフリーはトールキンにエディスとの面会に配慮をしてくれるほどの親友でした。
この面会が叶ってトールキンとエディスは寄りを戻し、帰還後に結婚できたのです。
大丈夫だ僕がついている
エディスに失恋をして酒を飲み大学構内で大声を出し騒いだトールキンにジェフリーは言いました。
大丈夫だ僕がついている!
誰かを愛し報われないことほど苦しいことはないよ…(中略)
現実や肉欲に汚れていない純粋な愛情だ。そんな愛の姿に僕は美を見る。
今日がその新たな日々の始まりだ。いつだって僕は君の味方だ。
引用:トールキン 旅の始まり/配給会社:ディズニー
トールキンが前線でジェフリーの安否を確かめようとさまよう中、トールキンのそばに付いているかのように声は聞こえてきたのです。
そのジェフリーの呼び声はトールキンを安全な方向に導くように聞こえてきました。