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『オール・ユー・ニード・イズ・キル』は、2004年に日本で出版された桜坂洋の同名ライトノベルが原作となっています。
2014年に公開されるやいなや、映画と原作の相違点について大きな論争を巻き起こしました。
更に、本作ではそのラストシーンも大きな話題となりました。
オメガ・ギタイを倒した後、なぜタイムループが起きたのか…。
劇中の様々な疑問と共に、原作ライトノベルとの違いを徹底考察していきます。
主人公を取り巻く環境が違う
小説を実写映画化するにあたり、監督ダグ・リーマンは大きくストーリーを変更しました。
そのひとつが主人公の設定です。
少年兵から少佐へ
原作の主人公は少年兵士のキリヤ・ケイジですが、映画では軍の報道官ウイリアム・ケイジとなっています。
原作では友達と恋人を見返す為に、自分から最前部隊に志願しており、この点も本作とは異なっております。
しかし、非力な報道官が不器用に成長していく姿こそ、ハリウッドが仕掛けた新しいヒーロー像といえるのではないでしょうか。
舞台がフランス沿岸部
原作での舞台は千葉県の沿岸部であり、生まれた時からエイリアンとの戦闘が続く近未来の日本という設定です。
映画ではフランスの沿岸部に変更されています。
映画化にあたり世界観やスケールは大幅にアップし、実写ならではのSFアクションに仕上がっているようです。
ループへの捉え方が違う
劇中でトム・クルーズ演じる主人公が戦闘で何度も死んでいくさまは、まるでゲームのようなループ体感が出来ると話題になっています。
そして本作の軸となるループに関して、原作との違いは大きくループへの捉え方は真逆といっていいほどです。
原作でのループは絶望を意味する
原作での主人公はループが起きるたびに絶望を重ねています。
それゆえにギタイを倒すことよりも、ループを抜け出すことが重要視されているのです。
しかし、映画ではループの能力を持っていることがオメガ・ギタイの潜んでいる場所を探るツールとなっています。
いわば、ループに関して後ろ向きな考えの原作に対し、劇中では途中からループをプラスのものとして捉えているといえるでしょう。
前向きな気持ちで強くなり、人類を救うウィリアムはアメリカの求めるヒーロー像の姿なのかもしれません。
ループが起きないハラハラ感は映画ならでは
クライマックスの戦いでループが起きない、というのは映画独特の設定です。
自分たちにとっての力となるループが発動しない状況下は、危機迫るものを感じます。
またこの設定があるおかげで、小説には出せない臨場感や緊張感を観る者に与えてくれるのです。
小説と映像の印象の違いを上手く捉えた演出といえるでしょう。