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映画『バード・ボックス』は2018年にNetflixオリジナル映画として製作・公開されました。
ジョシュ・マラーマン原作の小説をスサンネ・ビア監督が映画化しており、主演はサンドラ・ブロックです。
ある日突然やって来た世界最後の日という謎に満ちた世界観を舞台にして物語は展開されます。
ある非子どもを身ごもったマロリーがそんな恐怖から子どもを守るために命がけの行動に出るのです。
目隠しで次々に彼女達に訪れる恐怖から生じるホラー・ミステリーからは目が離せません。
本稿では作品内で見たら死んでしまうといわれる「それ」の正体をネタバレ込みで考察していきます。
またマロリーが自分の子供に名前をつけなかったや盲学校にたどり着いた意味なども見ていきましょう。
“見えない”物語
本作は“見えない”物語として描かれており、それがかえって想像力を掻き立てます。
特徴的なのは目隠しによって物理的に見えないことですが、それだけではありません。
行く先の道に何が待ち受けているのかが見えないし、「それ」の正体も見えないのです。
本作の”見えない”は視覚的な意味(look)と精神的な意味(understand)が混ざっています。
だからこそそんな暗闇の中で生き延びることに必死なマロリー達の姿に共感するのです。
ホラー映画において”見えない”を非常に強く押し出しており、それが受け手の興味をそそります。
「それ」の正体
さて、本作ではラストまで「それ」の正体が明かされることはありませんでした。
そのことが本作を巡る論争の元にもなるのですが、果たして「それ」とは何なのでしょうか?
あらすじやヒントなどを辿りながらじっくり考察していきましょう。
ドッペルゲンガーか?
まず一つ目に考えられるのが”見えたら死ぬ”といわれる代表のドッペルゲンガーです。
ドッペルゲンガーとは自分の肉体が霊から抜け出たもので創作でも度々扱われます。
まずもう一人の自分が見えるという時点で普通の人は怖くなって普通ではありません。
問題はそれがまるで感染症のように範囲が拡大して起こっているということです。
ドッペルゲンガーはあくまでも自然発生的な幻覚であって意図的に起こすことは出来ません。
なのでドッペルゲンガーという可能性はまずないと考えた方がいいでしょう。
キラキラした世界
二つ目の可能性としては余りにもキラキラした光り輝く世界が挙げられます。
三途の川や宝船などがこれに該当し、光り輝くものがあると逆に死に至るのだそうです。
思えば精神疾患を患っていて闇を抱えている人は逆に「それ」を見ても平気だとありました。
ということは、どちらかといえば光り輝くプラスのものが死因になっているということでしょう。
光と闇は表裏一体ですが、光が強すぎてもかえって暴力的すぎるカタルシスになります。