そして、人が存在した形跡のある現場で目にしたのは大量の血痕…

現場の状況とその場に現れたハロランの存在は、彼自身が犯人だとエレノアに信じさせるには十分な素材だったのです。

真実を隠す巧みなシーンの切り替え

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捜査とゲームシーンを巧みに切り替えることで、観る者は時間軸の流れに惑わされます。

本作では過去と現在の2本の時間軸と共に、殺人ゲームと捜査パートという場面転換も真実を隠すスパイスに使われています。

エレノアの言動はハロランが犯人だと語る反面、アマンダが犯人だった時のようにエレノア自身が犯人だと思わせる伏線にもなっていました。

真犯人を上手く隠すロジックは、シリーズ初期の魅力を彷彿とさせる原作と演出の上手さを感じさせてくれます。

同じ環境で行われた2つのゲーム

映画の中で進んでいくデスゲームは、ジョンが行った過去のものです。

ローガンも3人の被験者を相手に同様のゲームを行いますが、このゲームに関しては死体による結果しか出てきません。

死体のみゲーム会場から運ばれて公にはなるものの、ローガンが行ったゲーム現場は最後まで明らかにされないのです。

時間軸の違い

ゲームが現在進行形であると信じさせる演出は、冒頭のエドガーの逃走シーンに仕込まれています。

ゲームが始まるんだ。

アイツだよ… 選ばないと、俺かあの5人か!どっちが死ぬか!!

引用:ジグソウ:ソウ・レガシー/配給会社:アスミック・エース

ジグソウによる殺人ゲームが始まると分かっている視聴者は、このエドガーの発言こそゲームの引き金だと確信します。

しかし、実際の映像の中で進んでいくのは過去のゲーム…

本当の時間軸に気づけるかどうかは、実態となって登場したジョン・クレイマーの存在をどう見るかにかかってきます。

ジョンの登場からたたみかけてくるように現れるエドガーの死体もまた、疑惑を混乱に持っていく要素です。

周到に組まれたロジックにより正しい時間軸が分からなくさせることこそ、真犯人から目をそらさせる最大の演出となっているのでしょう。

見つかっていない装置

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ゲームで使われていた装置が見つかっていない事実もまた、ゲーム時間を不明にするのに一役買っています。

SAWシリーズでは、死体の発見=ゲーム現場という演出がほとんどでした。

(「ソウ・ザ・ファイナル」で登場するショーンの疑似被害現場の有無などは気になる部分ですが)

見つかっていないゲーム現場が存在するという事実もまた、ゲームの時間軸に疑問を感じさせるポイントになっているのでしょう。

さらに挙げると、死体を人目に付く場所に移動させることも過去のシリーズでは見られない行為でした。

過去のシリーズとの違いを考えられれば、発見されている死体のゲームマスターがジョンではないことが分かってくるはずです。

真犯人の目的は?

現在の【ジグソウ】の正体検視官であるローガン・ネルソンです。

ジョンを囮に捜査をかく乱させてハロランを犯人に仕立てるという筋書きで、彼はゲームを進めます。

作中では、ジョンのゲームと共にローガンのゲームが進んでいるのです。

ジョンのゲームの目的は、選んだ人たちを更生させること。選択肢によって生きる道を残すことでした。

ローガンの目的は、ハロランに彼自身の悪事を告白させてゲームの加害者として幕を引くことでした。

正当な後継者として登場するローガンではあるものの、ジョンの存在しない世界での【ジグソウ】は独自の思想で動いているとも考えられます。

ジョンのゲームに選ばれた人々

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ジョンのゲームには彼の人生に関与した人々が選ばれました。

5人の被験者たちは、彼の甥が死ぬきっかけを作った人物や、自分の子を殺して夫に罪を擦り付けた者たちです。

ジョンが許せなかった点は、人の命を奪うきっかけを作った者たちが素知らぬ顔で生活を続けていることです。

ゲームをクリアすれば、反省と更生を糧に再び自由な生活に戻れるのがジョンのゲームの最終目的でした。

だからこそ、彼の言葉の意図を汲み取れれば2人とも生き残れるシンプルなゲームがラストゲームとして選ばれたのです。

新たなゲームの被害者たち

ローガンが殺した被害者たちは、ハロランと関り利益を得た者たちです。

自分自身とハロランをゲーム人数にカウントし、過去のゲーム被害者に近い3人を選びました。

ローガンと共に悪事を働いていた3人は、彼ら自身への復讐と共にローガンを犯人に仕立てる役者として使われました。

選ばれた3人に与えられたゲームはジョンが行ったゲームと同じです。