CIAは司法取引のような方法をソロに取っていますが、KGBは恐怖で君臨しています。
クリヤキンの心の闇とは
クリヤキンは『エディプスコンプレックス』という心の病を持っていました。
これは成長過程での両親に対する歪んだ感情のことで、成人になるにつれ消えるはずが残ってしまっている状態を示します。
尊敬すべき父を上司に否定され、愛する母を蔑まれているクリヤキンに心の平穏はありません。
彼が時々見せる押さえきれない感情の起伏はこれに起因しているのです。
アンバランスな感情を恐怖で抑え込まれていたことがソロと出会う前までのクリヤキンの原動力でしょう。
しかしソロが腕時計を取り戻してくれたことで彼の心は変化していきました。
ソロの心境の変化
ソロは優秀な兵士として戦場を経験しつつ自分の特殊な才能に気づいていきます。
彼の大きな特徴はその明晰な頭脳を自分の欲求にしか使わないことです。
自分の快楽のためには命を賭すことさえ厭いませんし、むしろそれを楽しんでさえいました。
しかし自分を助けるために乗り込んできたクリヤキンが追われる姿を見て彼の感情が動きます。
おそらく初めて自分を顧みず救いわなければと思ったのではないでしょうか。
サンドイッチを投げ捨て車ごとボートに突っ込んだシーンは圧巻です。
ヘッドライトでクリヤキンを探す冷静さはソロにしかないものでしょう。
原作への拘りと監督の得意分野
『シャーロック・ホームズ』を手掛けたガイ・リッチーはバディものが得意なのかもしれません。
そんな監督はアクションとカーチェイスも得意です。
手に汗を握るアクションもダンスのようなカーチェイスも堪能できる作品でした。
そしてガイ・リッチーの原作への拘りを強く感じるシーンもたくさんありました。
テレビドラマのリメイクとしての本作。
当時の匂いを感じさせつつも新しさが際立つ素晴らしい出来栄えです。
U.N.C.L.E.の意味
United Network Command of Law and EnforbementをUNCLEと呼びます。
UNCLEは、すべての国籍のエージェントで構成される組織です。
「世界のどこでも政治的および法的秩序を維持すること」を担当し、規模や政治的説得に関係なく国を保護および防御します。
その構成は多国籍であり、範囲は国際的です。
引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/コードネームU.N.C.L.E.
もちろん架空の組織ですが直訳すると『おじさま』になりますね。
この遊び心がアレクサンダー・ウェーバリーのイメージにぴったりです。
エンドロールで驚くカメオ出演
カメオ出演として元サッカー選手のデビッド・ベッカムが出ていましたが気づきましたか?
KGBのカメラ技師役でかなり老け込んだメイクを施しています。
親友としても知られる二人の友情を感じる出演ですね。
新旧のキャスト
日本でも絶大な人気を博した『0011ナポレオン・ソロ』は1965年から日本テレビ系列で放送されていました。
ソロを演じたロバート・ヴォーンで吹替えは渋い声で名高い矢島正明です。
クリヤキンを演じたのはデヴィッド・マッカラムで声は野沢那智でした。
彼はこの作品でスターダムにのし上がり主人公のソロと人気を二分することになります。