つまりアナベル人形シリーズの「アナベル」とは、すでに亡くなった少女の霊と言われますが、それは悪魔が勝手に名乗っているのです。
結局、自称「アナベル」こと悪魔は、マリンズ夫妻が孤児院から引き取っていた娘に乗り移っています。
孤児院の娘ジャニスが「アナベル」
マリンズ夫妻が引き取った少女の中に、足に障害のあるジャニスがいました。
『アナベル 死霊人形の誕生』では、ジャニスに「アナベル」こと悪魔が乗り移り、孤児院に戻りヒギンズ夫妻に引き取られる場面で終わります。
つまり映画冒頭で事件を起こすアナベルとは、悪魔が乗り移ったジャニスであり、悪魔であるがゆえ、人の魂を欲してヒギンズ夫妻を殺したのです。
悪魔とは契約を交わすもの
ミアを狙い続けた悪魔ですが、悪魔には悪魔のルールがあります。
魂を狙うのが悪魔です。しかし勝手にその人の魂を奪うことができません。いわゆる契約をしなければならないのです。
契約ということは悪魔だけでなく、魂を奪われる相手の「承諾」が必要で、悪魔は承諾を引き出すためにあらゆる手を使います。
リアは幼過ぎる
まだ生まれたばかりのリアであるため「無垢な赤子の血」を欲しても、リアは幼過ぎて契約を交わすことはできません。
悪魔だ。現れた。姿を見た。存在してる。奪い取る気だ。彼女の魂。…赤ん坊は承諾できない。
引用:アナベル 死霊人形の誕生/配給会社:ワーナー・ブラザース
神父の元に悪魔が現れたとき、神父はジョンにこのように語りました。
このセリフの「彼女」や「赤ん坊は承諾できない」から、ジョンは「悪魔はミアを狙っている」ことを理解します。
つまり本当は赤ん坊の魂が欲しいが、赤ん坊は契約そのものができないので、ミアを狙ったのです。
ミアを引き出すためのリア
とは言っても、いきなり悪魔がミアに「魂を差し出せ」と言っても当然応じるはずもありません。
魔王は偽りの父。人間を罠にかける。自分から差し出すように
引用:アナベル 死霊人形の誕生/配給会社:ワーナー・ブラザース
こちらも神父のセリフです。悪魔はミア自身が「魂を差し出す」状況へと追い込みます。
それがリアへの攻撃なのでした。映画ラストでは、悪魔によってリアの姿が隠されます。
当然ミアは赤ん坊を返して欲しいと、自分の魂を差し出す決意をして悪魔と契約し、窓から飛び降りようとしました。
つまり、悪魔がリアを狙うのはフェイクであり、そうすることでミアが「自分から」魂を差し出す状況を作り上げたのです。
ミアが魂を差し出せばエブリンが死ぬ?
ここで一気に考察が崩れる可能性が出ます。これまで、ミアの魂が悪魔の本当の狙いであるかのように考察しました。
おそらく悪魔はその状況も考えていたでしょう。しかし悪魔はきちんと、誰が狙いなのかは言っていません。
映画ラストのリアがいた部屋の天井に、このようなセリフが書いてあっただけです。
彼女の魂
引用:アナベル 死霊人形の誕生/配給会社:ワーナー・ブラザース
この「彼女」は誰に向けた言葉なのかというと、エブリンである可能性も否定できません。
エブリンも弱い存在
先述したように、次作で悪魔に乗り移られるジャニスは足が不自由ですし、ミアは妊婦という何かしら不自由な人が悪魔に狙われます。
つまり「決定的になり得る弱点を持った人たち」ですが、メンタル面においても決定的な弱点であれば、悪魔はそれを利用します。
エブリンも過去に娘を失っていました。娘がいなくなった人生を抱えたエブリンは、メンタル面において弱点が存在するのです。
現在は立ち直っているにしても、手首を切って自殺を図るほどのショックを受けたエブリン。
悪魔が付け入るには、その心の傷は十分と言えるでしょう。
巧妙な悪魔
悪魔はミアが魂を自分から差し出す状況に仕向けるため、リアを利用しました。そのためミアは悪魔の思い通りの言動をします。
そこに魂を売り渡すべきは自分だとして、エブリンが飛び降りました。エブリンは最後にこう言います。
私がリアを救う。これが私の務め
引用:アナベル 死霊人形の誕生/配給会社:ワーナー・ブラザース
悪魔から見れば「娘を失った悲しみから、自己犠牲の心が生まれるエブリンは、自ら魂を差し出すだろう」なのです。