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窪塚洋介が主役ペコを演じ、ARATAがペコの親友スマイルを演じる卓球映画『ピンポン』。
原作は松本大洋の漫画で、インターハイ予選をタムラ卓球場の幼馴染たちや、ドラゴンこと風間、チャイナこと孔が盛り上げる青春卓球映画です。
映画では、才能あふれ負けん気の強さが溢れるペコが、海王のアクマこと佐久間に負けたことをきっかけに卓球をやめようとしました。
ペコはその時一体何を思っていたのでしょうか。
結局ペコは卓球に復帰、最期にはプロとして活躍していましたが、ペコにとって卓球とは何なのか?
ペコが片瀬高校卓球部員として復活するきっかけはアクマによる説得でしたが、アクマはペコに対して激しい執着心を持っていたはずです。
なのになぜそのアクマが、ペコを卓球に戻るよう説得したのでしょうか。今回はこれらの点について考察していきます。
アクマ戦での敗北
ペコが卓球をやめ「ポコ」と改名し、ゲーマーとなる直前で起きたのはアクマ戦での敗北でした。
このアクマはペコに対して、激しい執着心を燃やしていましたが、二人の間にはどんな関係があり、なぜ辞めるのでしょう。
そこにはペコ自身のプライドが大きく関わっていました。
4年と3か月ぶりの勝負
海王のアクマこと佐久間が、ペコと大会の3回戦で勝負する直前このように語り掛けます。
4年と3か月ぶりだなペコ。俺の24勝。94敗だ。
引用:ピンポン/配給会社:アスミック・エース
後述しますが、ペコ・スマイル・アクマはみな幼馴染であり、タムラ卓球場の元練習生でした。
小さな頃から負けん気の強かったアクマは、同じく負けん気も実力もあるペコに対して、憧れや嫉妬心を覚えています。
おそらく中学になる前後で、会う機会が減っていた両者。それでもアクマの中には、いつもペコという目標がいました。
それがこの言葉から現れますが、結局アクマとの勝負に1ゲームも取れずに負けたペコ。
94回も負かせていた相手に、この大事な場面で負けることはプライドが許さなかったのでしょう。だから卓球を辞めようと思うのです。
スマイルに負けたやつに負けた
結局この予選大会後、アクマは風間がスマイルに目をつけていることに嫉妬し、片瀬高校卓球部に道場破りをしかけます。
相手はこれまた幼馴染のスマイル。しかしアクマは負けてしまいました。
ただでさえアクマに一方的にやられたペコは、この出来事に衝撃を受け、大事な道具であるラケットを火の中へ入れてしまいます。
スマイルに飛ばされたお前に飛ばされた。それが俺の現実じゃ
引用:ピンポン/配給会社:アスミック・エース
これはアクマが説得しに来た時のペコのセリフ。
つまりペコは、自身が負けたアクマがスマイルに負けてしまう、という事実を目にして、スマイルの足元にも及ばないと判断したのです。
もともと勝ち気で、常にヒーローであり続けようとしたペコ。こうなれば、スマイルの前で大きな顔はできません。
落ち込みやすい
ただでさえ、ペコにとってプライドがへし折られる事態が起きています。そこにさらに拍車をかけるのが、ペコ自身の性格でした。
お前負けっとすぐ泣くだろ。
引用:ピンポン/配給会社:アスミック・エース
こちらはペコと勝負する直前のアクマのセリフ。つまり、負けん気の強いペコは一度の勝負にかなりこだわるのです。
実際にアクマとの試合後、ペコはひどく落ち込み階段に座ってふさぎ込んでいました。
そこに自分が負けたアクマがスマイルに負ける、これまでにないほどのショックがペコを襲います。
ペコが部活も面白くなさそうにしていたあたり、ペコが卓球を辞める理由としては十分な出来事なのでした。
ヒーローとは?
作品内でスマイルにとって、そしてペコ自身にとって、ペコはヒーロー的な立ち位置で描かれています。
この「ヒーロー」であることが、実はペコを苦しめていたようです。
勝ち続けることがプレッシャー
ヒーローであるために、ペコは勝ち続けなければなりません。当然スマイルやアクマといった幼馴染に対しても、それは当てはまります。
スマイルについては、自ら手を抜くことでペコに勝ちを譲っていました。アクマは全力でペコに勝とうとしてきます。