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1954年公開の『七人の侍』は、世界の巨匠である黒澤明監督が世界へ放った侍映画の神髄です。
侍の真の姿を理想像と現実を織り交ぜながら、巧みに「侍」を描いています。
世界に誇る本作の名セリフといえば、勘兵衛のラストのセリフです。
監督が勘兵衛のセリフに込めた思いとは一体何だったのか、ラストのセリフに込められた真意を徹底解説していきます。
寡黙な久蔵は本作のキーパーソンだったのか…。
そして侍はなぜ「七人」なのか、名作を様々な角度からひも解いていきたいと思います。
侍が「七人」だった理由
現在4月26日は本作の公開日にちなんで「七人の侍の日」とも呼ばれています。
この映画の影響力は計り知れないものがあるのではないでしょうか。
「七人」という数字もその後の映画界に影響を与えたといえます。
また本作に限らず世界にも「七人」が登場する映画が沢山ありますが、なぜ七人なのでしょう。
「七」は縁起がいい数字
西洋においては、野球で使用される「Lucky Seventh」という考え方が元になっているようです。
Sevenという数字=ラッキーなもの、という思考が自然と定着していったのでしょう。
日本国内に目を向けてみると、仏教関連で「七」という数字をよく見かけます。
中でも極楽浄土の様子を表現するものとして、七宝を上げているのが印象的です。
では黒澤監督も縁起を担いで「七」という数字を使用したのでしょうか。
作戦に必要な数だった
劇中で「七」という数字に対して、明確には描かれていませんが、勘兵衛が作戦に必要な人数として割り出しています。
この数字を割り出す前に勘兵衛は百姓たちに村の地形を聞き出しています。
野武士たちに四方から攻められる、と判断した結果東西南北を守る四人が必要とされます。
更に村を守る為には後三人の侍が必要と考えたのでしょう。
勘兵衛が数々の合戦を戦った戦術的見地から導かれた数字だったのです。
長老の思惑通りの数字
侍は四人位雇えばいいだろう
引用:七人の侍/配給会社:東宝
野伏せりから村を守る為に、当初長老は村の農民たちに四人位という数字を提示しています。
この言葉を聞いて利吉たちは侍探しに出かけたのですが…。
四人と言えばそれ以上の人数を連れてくる
引用:七人の侍/配給会社:東宝
長老はなかなか頭の切れる人物のようです。
十までいかなくても努力して七くらいは成果をあげるだろう、という長老の心理戦が功を奏しています。
この流れは、すでにラストシーンへの伏線にもなっているのではないでしょうか。
本作は「侍>農民」という立場は思い込みの産物だ、と説いています。
そして農民のしたたかさや強さを描く作品でもあるのです。