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映画『シンプル・フェイバー』は2018年公開のアメリカのサスペンス・スリラー映画です。

2017年のダーシー・ベルの小説『ささやかな頼み』を原作とし、ポール・フェイグ監督の下制作されました。

見所は何といっても主演のアナ・ケンドリックとブレイク・ライブリーの演技合戦にあるでしょう。

また2人の間で右顧左眄しながら縁の下の力持ちとなっているヘンリー・ゴールディングも良い味を出しています。

批評家も含め全米での評価は高く、受賞こそしなかったものの非常に手堅くまとまった秀作ではないでしょうか。

本稿ではステファニーとエミリーが仲良くなった理由をネタバレ込みで考察していきましょう。

またエミリーを逮捕出来た理由やステファニーがショーンと再婚した真意についても併せて読み解きます。

クールとファニーが同居する作品

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本稿の考察に入る前に、まずは本作も含むポール・フェイグ監督作品の特徴について触れておきましょう。

2016年の『ゴーストバスターズ』も含めフェイグ監督作品の面白い所はクールとファニーが同居する所にあります。

いつも英国風のお洒落なスーツで格好良く決めているフェイグ監督ですが中身は相当にお茶目で面白い人です。

「何でもアリ」とは少し違い、物語の芯は物凄く格好いいのに登場人物の動きが何とも滑稽にも見えます。

本作のステファニーとエミリーだってお洒落で格好良いのに行動・言動がどこかズレていておかしいのです。

そんな不思議な雰囲気の作品をこれからじっくり考察していきましょう。

二人が親しくなった理由

ママ友のオキテ。 ママ友シリーズ (本当にあった笑える話)

物語の中心にして見所でもある2人のシングルマザーのステファニーとエミリーは非常に対照的でした。

如何にも家族想いの温かい母ステファニーと自由奔放で洗練されたお洒落さを持ち合わせたエミリー。

そんな正反対な二人がどうして仲良くなれたのでしょうか?

表面上の芝居

芝居とその周辺 (井上ひさし 発掘エッセイ・セレクション)

結論からいえば、ステファニーとエミリーは決して仲良くなったのではありません。

あくまでもエミリーが一方的にステファニーを利用するために近づき仲良くなったのです。

そうでなければファッション会社の社長と中流階級のブロガーが親密な関係になどなれません。

でも凄いのはママ友だからといって意外にも感情面での摩擦や衝突が少ない所にあります。

よくありがちな主婦いじめや足の引っ張り合いといったママ友特有のいやらしさはありません。

あくまでも冷静で理知的な次元での駆け引きをエミリーがステファニーに行っているだけです。

秘密に見え隠れする温度差

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二人の関係が芝居だと分かったのはエミリーの家で二人がお互いの秘密を打ち明けるシーンです。

ここではステファニーが本心を打ち明けているのに対してエミリーは秘密という秘密を打ち明けません。

その後共感した二人がキスへ発展しますが、エミリーはなぜかここで写真を撮られるのを嫌がります。

しかもその後「ちょっとした頼み事」と称してステファニーの人の良さにつけ込んで利用しています。

純粋なステファニーと策士のエミリーの温度差がこれでもかという程対比で示されているのです。

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