そして後半で明らかになりますが、エミリーがステファニーに近づいた真意は保険金詐欺でした。
エミリーすら偽名で本名はホープ、かつ死んだ筈の人は双子の姉で自殺に見せかけて殺したのです。
ショーンもステファニーも彼女の詐欺にまんまと騙され利用されかねない所まで来ていました。
謎めいたエミリーのキャラを逆手に取ったしたたかな詐欺女というベールの剥がし方が秀逸です。
正に詐欺師は善人の振りして笑顔で近づいてくるというのを地で行く典型ではないでしょうか。
つまり前半はステファニーがエミリーにまんまと騙された格好となりました。
エミリーを逮捕できた理由
終盤でエミリーことホープとステファニーは保険金詐欺を巡っての知略合戦へ発展します。
激闘の末ステファニーは見事エミリーを逮捕にこぎ着けることへ成功しました。
あれだけ老獪な策士であったエミリーをそこまで追い込んだ理由は何だったのでしょうか?
自身のブログでの情報拡散
まず一つ目がステファニーがブログで生計を立てていたという設定を上手く生かしたことです。
彼女はネットで保険金詐欺を告発することで世界中へその情報を拡散させることに成功しました。
今風にいえば「バカッター」(Twitterで拡散する愚かな犯罪行為の暴露)に相当するでしょうか。
兎に角、まずはブロガーであることを逆手に利用するステファニーの賢さが侮れません。
一見天然気味な「いい人」でありながらただ騙されるだけのバカではないことを示しています。
ショーンとのコンビネーション
二つ目に再婚したショーンとのコンビネーションがあったからこそです。
ショーンは元作家・現大学の講師で一見ステファニーとエミリーの間で右顧左眄しているようです。
しかしここぞという所ではステファニーへプロポーズしたり保険金の情報提供をしたりしています。
もしショーンがいなかったら、ステファニーはブログでの告発を含むあらゆる策を講じられなかったでしょう。
エミリーに見破られたとはいえ偽の銃で殺す芝居や盗聴器を仕掛けるなどもショーンと手を組んだからです。
正に縁の下の力持ちとしてショーンがしっかり参謀役を果たしていました。
隠しカメラによるライブ配信
そして決定打となったのがステファニーが胸に仕込んだ隠しカメラによるブログでのライブ配信でした。
つまりステファニーは個の力ではなく周囲の力を借りて追い込んだことになります。
ここで絶妙なのは明らかに個のスペックではエミリーが上という力学関係を崩さなかったことです。
しかしブログを通じてネット民の力やショーンの力などを借りてその差をしっかり埋めています。
ステファニーの凄い所は何よりも自身の非力さや弱さを素直に肯定し周囲の力を借りられる所でしょう。
本作で実は一番厄介なのはエミリーでもショーンでもなくステファニーかもしれません。
ショーンと再婚した真意
最後は見事エミリーを逮捕に追い込んだステファニーですが、ここで気になるのはショーンと再婚した真意です。