引用:https://www.amazon.co.jp/dp/B0033VBYLW/?tag=cinema-notes-22
「カイシ 人生逆転ゲーム」は、福本伸行作の漫画「賭博黙示録カイジ」を原作とした映画です。
主演の藤原竜也による迫力満点の演技が注目され、漫画の実写映画のなかでも高い人気を誇る作品の1つといえます。
なかでも、香川照之が演じる利根川との勝負で使われた「Eカード」は、実際のカードゲームやアプリにもなるほど注目されました。
特にEカードの勝負中に利根川がつぶやいた「蛇」という言葉は、視聴者の間で様々な考察がされているのです。
そこで今回は、Eカードで登場した「蛇」という言葉の意味や、ゲームの参加者の1人である石田の金券の行方などを徹底考察していきます。
Eカードで登場した「蛇」という言葉の意味とは?
作中の見どころの1つでもあり、カイジと利根川の心理戦が注目された「Eカード」において、突如登場した表現が「蛇」です。
この「蛇」という言葉は、カイジに対する利根川の様々な想いを表現していると考えられます。
そこでここでは、Eカードに登場した「蛇」という言葉の意味について考察していきましょう。
カイジの狡猾さを卑下した表現
「蛇」という言葉が登場したのは、Eカードでのイカサマに気付き、再戦すべく戻ってきたカイジに対して、利根川が心の中でつぶやくシーンです。
利根川がカイジを「蛇」と表現したのは、草むらなどに潜んで獲物を捕らえようとする蛇の様子から使われた表現であると考えられます。
蛇という、地を這って生きる下等な畜生に見立てるとともに、負け組でありながら自分に勝利すべく策をめぐらすカイジを見下しているのでしょう。
旧約聖書に登場するエデンの園の蛇
利根川がカイジを表現する時に用いた「蛇」ですが、蛇を選んだ理由については、旧約聖書の『創世記』が関係していると考えられます。
実は旧約聖書において、アダムとイヴが楽園を追放される原因となった「善悪の知識の実」を食べるよう、イヴを唆した動物が「蛇」なのです。
旧約聖書の『創世記』のなかで蛇は、神が造った野の生き物のうち最も賢いと書かれています。
そして巧みな話術を駆使し、楽園で幸せに暮らすイヴやアダムを苦痛を伴う地上での暮らしに追いやっているのです。
楽園を帝愛のエリートという立場、イヴ・アダムを帝愛の社員と考えると、利根川を地下帝国に陥れようとするカイジは「蛇」といえるでしょう。
自身に勝とうとするカイジを卑下するだけでなく、今まさに自分を追いつめているカイジの実力を利根川が褒めている表現であるとも考えられます。
カイジが頭を鏡に叩きつけた狙いとは?
Eカードでの勝負中、カイジは突然鏡に自分の頭を叩き付けます。この「鏡に頭を叩きつける行為」には、ある狙いが隠されているのです。
そこでここでは、カイジが頭を鏡に叩きつけた本当の狙いについて考察していきます。
限定ジャンケンで用いた戦法の再現
カイジは限定ジャンケンにおいて、石田の血を付着させたカードを使って勝利しています。
つまり、Eカードでも同じ手法を再現することで、利根川を油断させるという目的があったのでしょう。
利根川は、限定ジャンケンでの様子をモニター越しで見ていたため、カイジがどのような策で挑んでくるかを簡単に予測できます。
しかしこの予測による油断こそ、カイジの策なのです。
「血の付いたカードが奴隷である」と思いこませたことで、利根川を心理的に追い詰め、Eカードに勝利することができたのです。
自分を極限状態にする
鏡に頭を自分から叩き付ける行為は、失血多量で死亡する可能性もあることから、精神状態が安定している時にはおそらくできない行為でしょう。
しかし、作中に登場するカイジの場合「負けたら死も同然」という危機的状況であるため、何が何でもEカードに勝利する必要があります。