野村周平のやんちゃな一面は話題性に繋がりましたし、竹内涼真や間宮祥太朗はイケメンを自覚したリップサービスでファンの心をぐっと掴みました。
また志尊淳と千葉雄大のカワイイキャラを意識した言動により、ファンからは悲鳴があがることもしばしば。
彼らの宣伝能力により、原作を知らない人たちにも「何か面白そうだ」というイメージが伝わり、幅広い層を引き込むことに成功したのです。
原作を高彩度のまま映画サイズに凝縮
原作ファンの間で高い評価を得ているのがストーリー展開です。
特に、118分という映画サイズにうまくまとまっている点や、ラストに向けての無駄のない流れが原作ファンを納得させました。
原作のストーリーを壊さずにまとめ上げた
漫画原作の実写映画で敬遠されがちな要素として、原作にないオリジナルストーリーの付加が挙げられます。
ですが『帝一の國』は余計な飾りをつけず、原作の面白さをギュッと凝縮しています。
コメディでは終わらない満足度の高い作品に
原作の本筋から離れずコメディとして笑えて、熱い友情あり恋愛ありという密度の高い作品です。
しかし「何でもかんでも詰め込んだこと」が満足感に繋がったわけではありません。
終盤で描かれている、選挙をめぐる熱い戦い。帝一と菊間の過去が絡み合うことで物語に深みを与えています。
みんな一生懸命、何かと戦ってるんだって分かった。
引用:帝一の國/配給:東宝
大鷹弾のこのセリフは、映画前半に様々なことに全力で挑んだ帝一たちを肯定しています。
前半で描かれていた謎の展開に大鷹が「意味」を与えたといえるでしょう。
モヤッとしたものに意味が与えられた瞬間、伏線が回収されたような爽快感が生まれ、奥深い作品だと実感できるのです。
「コメディ映画だと思って観ていたはずなのに、気づけば深みを味わっていた」というのが満足感の要因なのではないでしょうか。
風変わりな世界からよく知る世界へと導いてくれる
ネット上で「この映画の需要はどこにあるんだ」という声を見かけましたが、蓋を開けてみると大ヒット。
原作の奇妙な世界観をそのまま実写に持っていけば違和感ばかりだったかもしれません。
ですが原作を噛み砕いて受け入れやすい形に整えて実写化したからこそ、原作ファンが納得する形でヒットしたのです。
現実離れした展開から身近なテーマへ
総理大臣になりたいからまずは生徒会長を目指す、という現実離れした展開で始まる序盤。
しかし終盤になると熱い友情物語が展開されているのです。
例えば、自殺を図った氷室を駒が励ますシーン。ここでは「友達とはかくあるべきだ」と定義しています。
「俺たち、友達だよな?」
「当たり前だろ。次は別のてっぺん目指そう。てっぺんは星の数ほどあるよ」
引用:帝一の國/配給:東宝
若い世代に限らず、「友達とは何か」というのはごく身近な問題ではないでしょうか。
この映画の面白さは、身近な「学校」という場所で友情・愛情・くだらなさを一挙に描いている点にあります。
登場人物それぞれが異なる個性を持っており、それぞれに適した場所がある。
しかしその場所は簡単に見つかるものではないからこそ人と人とはぶつかり合い、最後には手を取り合うのです。
原作の頭脳戦や罠の掛け合いといった人間同士の面白さをしっかりと描きながら、最後には大衆が共感しやすい身近なテーマへとまとめられているのがこの作品の魅力です。
問題提起した終盤のエピソード
選挙シーンでは帝一が大鷹に借りを返し、友情を示しました。