また、『花とアリス』や『スワロウテイル』など実写映画を撮り続けてきた経験が、ロトスコープでの製作に活きていると考えられます。
さらに、アニメにすることで蒼井優と鈴木杏が実写と同じ役で声優としてアリスと花を演じることができました。
岩井監督、そしてファンにとっても蒼井優と鈴木杏の2人の掛け合いがこのシリーズに欠かせないものであると考えられているのでしょう。
岩井俊二作品に欠かせない音楽
岩井俊二作品で特に重要な役割を担っているのが「音楽」です。
本作で音楽を担当したのは岩井俊二自身が参加ししている音楽ユニット、「ヘクとパスカル」。
岩井俊二の得意とする映像美と、その画をイメージしながら製作する音楽を融合させることで作品性が高いアニメとなっています。
特に、駐車場で花の周りを星空が囲む映像と音楽は圧巻です。
なぜ湯田のうわさが歪曲して広まったのか?
実際に湯田は生きており、普通の高校生活を送っているようでした。
ではなぜ「ユダが4人のユダに殺された」といったようにうわさが歪曲して広まってしまったのでしょうか?
最も大きな要因は又聞きを繰り返したことによりうわさの内容が変化したためと考えられます。
どんどん人づてに伝わるうちに話には尾ひれがついていくものです。
また「口裂け女」や「こっくりさん」をはじめ、学生間でのうわさが広まるスピードはかなり速いものがあります。
そういったスピード感と又聞きを繰り返した結果、毒でユダが殺されたという根も葉もないうわさに変容していったのでしょう。
友情の始まりを描く前作につながる青春物語
前作である『花とアリス』は有栖川徹子と荒井花の友情と恋愛模様に揺れる姿を描いた物語でした。
前日譚として製作された今作は、その2人の友情がどのようにして生まれ、信頼しあう関係になったかを描く物語です。
さらに、ラストシーンの制服を見せあうシーンや登校するシーンは前作の冒頭のシーンとリンクしてつながっているように感じます。
今作の2人の関係やバックグラウンドを知ってから『花とアリス』を再度見てみてはいかがでしょうか。