出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B00L1WYR8M/?tag=cinema-notes-22
『踊る大捜査線THE MOVIE』はフジテレビの連続ドラマの劇場版として製作された映画です。
監督はテレビドラマ版で演出を手掛けた本広克行、脚本は君塚良一のゴールデンコンビでした。
プロデューサー亀山と上司の「最終回視聴率が20%超えたら映画化」の約束により製作された。
引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/踊る大捜査線
ドラマを観ていないと判らないような小ネタもありつつ、初めての人でも十分楽しめる内容で邦画の中でも大ヒットといえる本作。
ホラー映画で初のアカデミー賞を受賞した『羊たちの沈黙』を彷彿とさせる日向真奈美が印象的でしたね。
織田裕二のはまり役となった青島刑事の前に現れた日向という存在がこの作品にどんな影響を与えたのでしょうか。
彼女が起こした事件や思想、その目的なども深読みしていきます。
日向真奈美という存在が示すもの
薄いグリーンのチャイナブラウスを重ね着し湾岸署に現れた日向美奈子のインパクトは凄かったですね。
小泉今日子の怪演ぶりに驚いた方も多いと思います。
猟奇的な匂いのする日向真奈美という存在が与えた影響とは何でしょうか。
本作に与えた影響とは
他の刑事ドラマとは違い『踊る大捜査線』シリーズは犯罪内容も時代に沿って変化させています。
貧困や恨みで犯罪者となるパターンから脱却し『理由なき犯行』という路線に切り替えるために必要なキャラなのです。
サイトで知り合った何の関係も無い者たちがゲーム感覚で犯罪者となる設定はネット社会の闇を予言するかのようでした。
息子に盲従する母親や和久刑事に暴行を加えゴミ捨て場に捨てるなど、ひと昔前のドラマでは考えられないストーリーです。
曖昧な理由による重犯罪にあえて理由付けをするためには彼女のような黒幕の存在が必要なのでしょう。
自分の欲望だけで他者を傷つけるような『動機が不純な犯罪』を生む社会の闇を擬人化したものが日向真奈美なのです。
本シリーズが描く今後の犯罪傾向を示すための存在だといえます。
拳銃はなぜ不発だったのか
あの拳銃は湾岸署に入り込んでいたコスプレ窃盗犯の河原崎宗太から奪ったものでした。
河原崎はコスプレに強い拘りを持っていますから小道具まできちんと揃えていますし、所轄の刑事もわからないほどの完成度です。
他の刑事でも同じように拳銃を奪われたかもしれませんが、河原崎だったからけが人が少なかったとも言えます。
警察官になりきっていた河原崎から奪った拳銃は当然『偽物』だったのです。
シリーズ作品を通した日向真奈美の役割
日向のような精神的に負の影響力を持つ人間を黒幕と呼びます。
日向本人は示唆するだけで本当に実行するかどうかまでは関与していませんから、その存在が表に出ることはありません。
今後多発する不可解な犯罪を追うことになる青島たち刑事にとって彼女を知ることが解決の糸口になります。
日向真奈美を崇める者たち
日向が運営する犯罪系情報サイトの訪問者が本作でも誘拐犯となりました。
日向自身が何かを指示するのではなく、彼らはいつの間にか取り込まれていったとのだ推察できます。
しかしその異常さに気づかずのめり込んだ時点で彼らもまた狂っているのです。