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映画『4月の君、スピカ。』は小学館出版の雑誌に掲載されていた杉山美和子の少女漫画を2019年に実写化した作品です。
主演の三人はそれぞれ星を福原遥が、深月を鈴木仁が、そして泰陽を佐藤大樹が演じています。
話としては非常に王道的な三角関ですが、本作ではもう一人咲という転校生が絡んでくる構造です。
ほぼ四角関係といってもいい関係で展開されていく人間関係には最後まで目を離すことが出来ません。
本稿ではネタバレ込みで星・深月・泰陽の三角関係をじっくり考察していきましょう。
また、星が本当に好きなのは深月と太陽のどちらで咲はどうそこに関わるのかも掘り下げていきます。
つまらないことこそ若者には大切
本作は脚本も演出も特別変わった展開があるわけではなく、王道中の王道を行く恋愛映画です。
魅力の半分以上はやはり主演を演じる三人の演技力と若さ故の輝きで持っているものでしょう。
しかし、その素朴さがかえって高校生の恋愛事情や若者の本質を一つ浮き彫りにしています。
それはつまらないことこそ若者には大切なものであるという特徴です。
不器用な言葉に傷つき涙したり相手を思いやるつもりが傷つけたり下らないことで喧嘩になったりします。
もっと余裕を持って堂々としていればいいのに誰もそうした冷静さを持ち合わせていません。
本作は恋愛関係を通して若者とは何か?を改めてじっくり描いた作品ではないでしょうか。
星・深月・泰陽の三角関係
星・深月・泰陽の三角関係は物語を最後まで牽引する本作最大の特徴です。
性格も見た目も何もかもが違う三人が果たしてどのような関係を築くのでしょうか?
あらすじを踏まえつつじっくり考察していきましょう。
星と泰陽の関係
まず三角関係になる前の星と泰陽はいわゆるいじめっ子といじめられっ子に近い友達関係でした。
星の赤点答案を拾ったことを学年トップの泰陽がいじりつつも彼女に勉強を教えています。
一方の星も泰陽を疎ましく思いつつ勉強を教えてくれることや構ってくれることに感謝していました。
名前通りの関係性で友達の出来ない彼女が輝き出したのは泰陽に照らされてからです。
主導権は完全に泰陽が握っていてラストまで泰陽が彼女を引っ張り上げていきます。
いってみれば熱血男子と素朴なヒロインという少年漫画の恋愛に近い構図でしょう。
星と深月の関係
一方で夜の天体観測を通して築き上げられたのが星と深月でこちらは非常に大人の色気が漂う関係です。
まるで運命の出会いのように星は深月の謎めいたミステリアスな雰囲気に惹かれて好きになりました。
更に最初の段階で深月が星のフルネームを聞いた途端次のようなことを口にします。
あの星は乙女座の星のスピカ、君の名前と同じだ。俺の一番好きな星だ
引用:4月の君、スピカ。/配給会社:イオンエンターテイメント
こんな粋な台詞を直球でいわれれば星だけでなく大概の女子高生は惚れてしまうのではないでしょうか。
正に典型的な白馬の王子様とドジっ子ヒロインという少女漫画の恋愛に近い構図です。
泰陽と深月の関係
そして何よりも大事なのはそんな星と仲の良い泰陽と深月の関係で、ここが一番重要でしょう。
二人の関係は幼なじみで、名前通り太陽と月という「陽」と「陰」の対照的なコンビです。
尚且つ星を巡ってどちらが上かと競うのですからベタな熱血男子とクールな二番手キャラに見えます。