ドーソンは再び恨みを買い凶弾に倒れますが、それと引き換えにトミー親子は服役しアーロンは無事に母親と暮らせるはずです。
永遠にかけがえのない人
また、アマンダが息子の手術が成功した朝に見た夢にドーソンが現れたことで、ドナーがドーソンであったことは容易に理解できます。
自分の命の引き換えがここにもあったのです。
君との再会は二度目のチャンスだと思った。宇宙がくれた贈り物だと…。
君といると自分を好きになれる。君は親友であり最愛の人、かけがえのない人だ永遠に…
引用:かけがえのない人/配給:レラティビティ・メディア
一度はあきらめたアマンダが夫との別れを決めた瞬間は、アマンダが「贈り物」だと思わせました。しかし、その形は少し違っていたのです。
目に見えない敷かれた道とは、アマンダの大切な息子の命を助け彼の体の一部になってアマンダの側にいる事だったのでしょう。
つまりドーソンの運命はかけがえのない最愛のアマンダの息子に、ドナーという贈り物になるために生還したことでした。
もう一つの隠された運命
アマンダからの電話メッセージを最後まで聞けないままドーソンは死亡しその死が無駄でなかったとしても、あまりにも悲しく残酷な運命です。
しかし、この「かけがえのない人」には劇場版の他にもう一つのエンディングがあり、発売されてDVDの特典映像で観ることができます。
映画本編が美しく儚い愛の運命だったのに対して、このもう一つのエンディングにはアマンダのドーソンに伝えたい想いが描かれています。
これだけは覚えておいて…。生涯であなたほど愛した人はいない…あなたはかけがえのない人よ。
おかげで私は自分を取り戻せた…。永遠に愛してる。 アマンダ
引用:かけがえのない人/配給:レラティビティ・メディア
別荘から再びいつもの生活に戻っていったアマンダが、息子の事故を機に夫と離婚したという設定で全てが丸く収まったハッピーエンドです。
物事には全てに意味がある
人にはなかなか感情的に割り切れることのできない思い出や出来事があると思います。
それを解決してくれるのは時間の経過であり、いつか気持ちを整理するための理由をみつけることもできるのです。
忘れられない出来事は「運命」の“おかげ”にしたり“せい”にしたり勝手な解釈になりがちですが、時に「何」のためかを教えてくれます。
この映画はただ悲観的になったり諦めの気持ちになるのではなく、運命の道には必ず大切な意味があると思わせてくれる作品でした。