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『万引き家族』でお馴染みの是枝裕和監督による、初の国際共同製作作品である映画『真実』。

2019年8月にヴェネチア国際映画祭オープニング作品に選定され、11月には特別編集版が上映されるほどの人気作です。

ネット上では主演のカトリーヌ・ドヌーヴをはじめとしたキャストの演技と、監督の独特な演出が注目されました。

そんな話題の映画である『真実』ですが、作中の表現の中にはさまざまな考察がされているものもあります。

今回は、主人公のファビエンヌの自伝本のタイトルをはじめ、作中のさまざまな表現について考察していきましょう。

自伝本に嘘を書いた理由とは?

作品の冒頭において、ファビエンヌは出版した自伝本についてのインタビューを受けていました。

しかし誰よりもファビエンヌを知る、娘のリュミールが読んでみると嘘の内容が多く書かれているのです。

なぜファビエンヌは、自伝本に嘘の話を書いたのでしょう。

ここでは、ファビエンヌが自伝本に嘘を書いた理由について考察していきます。

女優・ファビエンヌの体裁を保つため

真実 スタンダード・エディション

「フランスを代表する女優」と呼ばれ、さまざまな賞を受賞した世界的有名女優であるファビエンヌ。

そんな輝かしい女優としての姿とは裏腹に、家族との関係性には浅からぬ溝がある状態です。

仕事での顔が目立つ女優の、日常生活の様子や暗い一面は、メディアにとってこれ以上美味しいネタはないでしょう。

ましてや世界的有名女優となれば、マスコミをはじめとした周囲の目が気になるのは当然といえます。

つまり、家族との関係性をはじめとした裏の顔を隠し、女優としての体裁を保とうとしたのでしょう。

 

ファビエンヌの後悔の表れ

真実 スタンダード・エディション

ファビエンヌが自伝本に書いた嘘の内容というのは、幼少期のリュミールとの幸せな時間に関するものになっています。

特に目立ったのが「放課後に校門前で娘を待つ時間が幸せ」といったように、母の愛情を感じる内容です。

しかし実際には、リュミールを校門前で待っていたのは父親のピエールや秘書のリュックとなっています。

女優の仕事が忙しかったこともあり、娘のリュミールの世話はサラに任せていたという描写もありました。

愛しい娘でありながら、リュミールは自分ではなくサラになついており、何かあるたびにサラと比べられています。

ここから考えると、嘘の内容はファビエンヌが実際にリュミールにしてあげたかったことなのではないでしょうか。

娘が大人になり、母親から自立したことで、母親としての愛情を伝えるのは難しくなってしまったファビエンヌ。

サラのように愛情を注いであげられなかった後悔の念から、本の中だけでも理想の母親を実現したかったのでしょう。

自伝本のタイトルを「真実」にした真意は?

真実 スタンダード・エディション

自伝本のタイトルであり、映画のタイトルにもなっている「真実」という言葉。

本来であれば何の問題もないタイトルです。

しかし、ファビエンヌの自伝本は嘘の話や省略された事実もあるため、内容には似つかわしくないタイトルといえます。

ではなぜ、ファビエンヌは自身の自伝本のタイトルを「真実」にしたのでしょうか。

作品においてファビエンヌは度々、リュミールをはじめとした周囲の人間の話に対し「記憶にない」と話しています。

他の人にとっては真実で本当にあった出来事でも、ファビエンヌには他人の頭の中で確立された記憶でしかないのです。

他人がどれだけ真実であると訴えても、自分の記憶になければ真実でないのと同じ。

「真実」というタイトルはこのような、記憶というものの曖昧さを皮肉ったものであると考えられるでしょう。

実際、本に書かれている出来事や偉人の活躍というのも、その当時の人々が伝え聞いた話や考えが基準になっています。

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